それでも部下のマネジメントにコーチングを使いたい

先日、顧問先の関係でお会いした取引先のベンチャー経営者の方々から、「由子さんって本業は何しているんですか?」と聞かれたので、何が本業か自分でもよくわからないのだが、ベースはyoshikoo’s officeということになるので、そうなるとやっぱりコーチかな…ということで、「コーチです」と自分のオフィスの名刺をお渡しした。
たまたまその方たちは以前の職場(大企業)で、コーチング研修を受けたことがあり、そこでコーチングを使った職場のマネジメントについて色々と聞かれた。

私自身は、ブログ記事「部下のマネジメントにコーチングは使えませんよ…という事実」で書いたように、利害関係者間でのコーチングというのはうまくいかないという持論と経験がある。

今回、お会いした二人は「確かに由子さんの言うことも納得がいくし、その通りかもしれないが、部下が自発的に動くための手助けを上司としてしたい、それにはやっぱりコーチングが使えるのではないか、コーチングの研修でそう思ったのだ」と仰る。

前述の記事は、結構反響があって、メールをいただいたり、ご意見を直接賜る機会が何度かあった。
概ね反響は二つ。
「まったく、同感だよ。現場でコーチングなんて使えないよ」という人と、「いやいや、やっぱりそうは言っても最後はコーチング的な関わりが必要だよ」という人。

私自身、なんでコーチングを学んだか…と言うと、マネジメントもやりつつ、いつまでも自分がリーダーシップを取ってこれからの戦略を決めていく…なんてとてもできんわ…と思ったからだった。
マネジメントの仕事に入るとどうしても現場や客先からは物理的に離れていくわけで、入ってくる情報の質がプレーヤーだった時代と変わってくる。
こりゃぁもっと現場のプレーヤーからどんどん色んなことが上がってこないと…自分だけだと1年後に次の戦略を考えるための経験値もアイデアも枯渇してしまうな…と思った時に、たまたまコーチングの本と出会って、部下が自発的にどんどん動く!素晴らしい!こりゃぁ良い!ということであれこれ読みはじめ、そこからコーチのトレーニングを受ける流れになったという経緯なので、現場のマネージャーがぜひコーチングを使いたい!という気持ちは大いにわかる。

私たちプロのコーチがコーチングを使って、クライアントの成長をスピード感を持って促すことができるのは、利害関係のない立場であるからクライアントも全てを話すことができ、且つこちらも意図を持たずに聞くことができるというのが大前提であることは確かだ。
ただし、上司・部下の関係でも部下の自立を促すためにコーチングの技術を役立てることができるというのはわかる。

で、お会いしたお二人のケースをもとに、職場で活かせるコーチング技術について考えてみたい。

まず、最初に上司であるあなたにお聞きしたい。

「あなたは直属の部下と定期的なOne on One ミーティングの機会を持っていますか?」

ポイントは3つある。

・1対1のミーティングであること
・会議室などの閉じられた空間でそのミーティングは開かれていること(遠隔地にいる相手と電話会議の場合は、双方の周囲に誰もいない環境であること)
・それは定期的に、毎週もしくは隔週の決まった時間に開催されていること。

上記、3つは部下のコーチングをする上で欠かせない要素である。
外資系企業の場合は、One on Oneはかなり浸透しているが、日本企業の場合はこれがないケースが非常に多い。
都度の状況報告や相談などは上司の席に行ってちょろちょろっと話して終了かメール。
あとは部内の定例会議で情報共有。
1対1でクローズドな空間で話すのは、半期に一度もしくは年に一度の人事考課だけ…というようなケースは決して少なくない。

日本企業の場合は、レポートラインの直属の上司ではなく、部署内における先輩が後輩を指導するというケースが結構あるので、こういうことがあるのだと思うが、先輩後輩というのは組織図におけるピラミッド構造の上下関係になく、その部下を評価する人ではないので、あくまで職場に先にいた人なので、職場全般のルールについて聞いたり、何か引き継ぎがある場合はその職務の引き継ぐだけにとどめておくほうが良いと個人的には思っている。

部下が先輩に質問をし、先輩がそれに答え、その答えが評価者や部内における最終意思決定者と合わないケースは結構な頻度であるし、それに対して先輩の責任範囲は全く明確ではないし、部下としてもいったい誰に何の判断を仰ぐべきなのか分かり難い。
あくまで参考意見を聞く程度とし、部下は直属の上司判断もしくは上司から委ねられている担当者の権限の範囲内で自ら動かないと、曖昧な意味しかないようなあやふやな同意を取り付けるのに、ムダな時間を割くことになり、生産性が著しく下がる

少し話がずれたが、One on One ミーティングを行っていない場合は、まずそこから始めよう。30分程度、2週間に1回程度のスタートからで十分だと思う。

管理職は忙しくてそんな時間はとてもない思うという人は、いったい自分は何を管理する管理職なのか?というのを考えてみるといいと思う。
単なる部内の進捗管理係を期待されているという人はおそらくないだろう。よーく考えて。

追記:このテーマ長くなりそうなので、いったんここで止めます。また続き書きます。

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