数年前に、コーチングのクライアントが男性管理職ばかりという時期がありました。
部長・役員クラスの方が中心でした。
その中で何度か取り上げられたトピックに、
「引き立てて昇進させた女性があっさりと会社を辞めてしまった…」というのがありました。
(お約束ですが、この後ろには「だから、女は…」という言葉続くわけです。)
彼らの立場には大変同情します。
女性を管理職に上げるには、やっぱりそれなりに周囲の抵抗があり、それに対して「いやいや、この女性なら大丈夫です。立派にやり遂げます」というようなコミットをして、説得するような形で上げたところ、数年経ったら退職してしまうのですから、立場がないでしょう。
退職理由がどこかにヘッドハンティングされた…という彼らから見てキャリアップ的なものなら、まだ良いのですが、家庭に入ってしまった…、留学してしまった…、学問領域を極めたいと進学してしまった、趣味の領域でプロになりたい…と全然違う分野にいってしまった…というのは、昇進を手伝った彼らにしても納得いきません。それをさらに頭の堅い周囲の管理職男性達にに説明し納得を得るのは、恐らく相当に大変なことでしょう。
彼らがもうこれに懲りて、女性を引き立てるのはリスクが高い…と感じるのは、しょうがないかな…とも思う面もあります。
サラリーマンの評価は加点方式というよりも、減点方式という企業が多く、彼らがそこまでリスクを取って女性を登用しなければならないだろうか…と思うからです。
ただ、私は辞めてしまった女性たちを無責任だな、義理人情をわかっていないな…と責める気にはどうにもなれないのです。
女性活用がいくら叫ばれても、企業の中は男性が決めた試合のルールで動いていることがほとんど、これにうまくマッチした女性のみが昇進していくというのが現時点です。
女性から見ると、なんだそれ?、アホみたい?どうして、それが仕事できるってことになるの?というようなことが山ほどあります。
しかも、それが上に行けば行くほど、見えてくるので、途中でバカバカしくなってしまうのじゃないかと思うのです。
ビジネスルールも社内政治のルールも男性が決めており、そこで手にするご褒美も男性が決めているわけですから、女性から見ると価値観の相違がそこにはたくさんあるわけです。
私生活を犠牲にして、手に入るものってこれっぽっち?
ルールがそもそも女性に適していないですから、そのルールに適合するのに男性より苦労する人が多く、且つそれだけ苦労して勝負に勝ったときに手に入るものも、女性にしてみると、あまり魅力的じゃないのです。
男性からしてみると、本来女性に渡されないはずの豪華なものを分け与えてあげたのに…、なんという不義理な…となるかもしれませんが、根本にずれがあるのです。
そのずれに違和感を感じた女性たちが辞めることに、私は責める理由を見つけることができません。
もうひとつ思うのは、女性というのは男性に比較すると、どうも欲張りだということです。
公私ともに全方位的に、24時間常に幸せでいたい。
ひとつひとつの幸せレベルは高くなくても良いのですが、恋愛、結婚、育児、衣食住、趣味、そして仕事と常にあちこちで幸せでいたく、さらにそれがかなり気分や年齢で左右されるようで、男性のように「まずは仕事」「社会的地位と名誉」という価値観が持ちにくいのだと思います。
私がコーチングで見ていて、一番幸せそうな女性というのはマイペースで働ける仕事を持っている人です。
なかでも、仕事に集中したいときにはがーっと仕事にのめりこみ、他に興味が向いているときは、ほどほどに仕事をしているというのが一番良さそうです。
2003年からコーチングを始めて10年以上の時間を過ごしたところで、女性の仕事は「開業」が一番良いのでは?と感じています。
「起業」は、前提として会社をある程度大きくするというものがあるため周囲と働き方を合わせる必要がありますし、もちろんある程度儲かるものを商材にしないとならないですが、「開業」なら自分が好きなことを好きな働き方で追求しやすいです。
「就社」は基本的にそのどちらの条件も満たすことができませんし、会社と上司の意向で自分の人生が大きく変わってしまうというリスクが非常に高いです。
人生に対して「うんと欲張る」という姿は、潔くてとても素敵です。
「好き」を原動力にエネルギーを引き出すのは、どうやら男性よりも女性のほうが得意のような気がします。
時代の流れで、女性も家計の責任を任せられることが増えてきたようですが、なんだかんだいってもそれはまだまだ少数。女性はまだまだ「儲からないかも」というリスクが取れる状況です。
男性が「やっぱり男が家計の責任は負わないと…」と思ってくれている間に、好きなことで開業して、最初の儲けは少なくても、ゆるゆると売上を伸ばしていき気がついたら、経済面でも気持ちの面でも楽しく長く働ける職場を持っている…というのは、なかなか理想的です。
しかもそこには自分が設定したルールと、人から押し付けられた報奨品ではなく自分の選んだご褒美があるのです。
2015年もyoshikoo’s officeでコーチングを受けた人たちがたくさん開業していく予定です。
以前は自分で何かビジネスを始めるというと、不見転の決意、親戚中からお金を借りて…というような感じでしたが、インターネットのおかげで、オフィスは必要なくなり、広告宣伝コストも猛烈に下がり、開業への敷居はとても低くなりました。
開業という選択肢を、自分のキャリアの検討材料の1つに加えることもなかなか面白いですよ。
既製品じゃない、手作りで自分のサイズにぴったりとあった職場を作ってみる。
今年はそういうコーチングの依頼がますます増えそうな予感がします。
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