村上春樹の昔の短編に主人公の男性が自分の誕生日(私のかすかな記憶ではそれは、確か35歳の誕生日だったと思うのだが)に、自分は人生の折り返し地点にきた・・・・という話があった。
勿論自分は70歳以降も生きるかもしれない、でもそれはおまけのようなものであって、とにかく自分としては35歳が折り返し地点なのだ・・・・として、折り返し地点にいる自分自身と自分の状況を見つめるという小説だった。
収録してある短編集の名前も忘れてしまった。
今年36歳の誕生日を迎えてしばらくしてから、何となくこの「折り返し地点」と言う言葉が繰り返し繰り返し自分の中から浮かんでくる。
ここが私の折り返し地点なのかもしれない。
体調を崩して3月末にベンチャー・キャピタルを退職し、4月からは個人事業主となった。
崩した体調は、それをきっかけに私の中にあった様々な身体の弱い部分を引き出し、病院には受験生が塾に通うような頻度で未だに通っているし、おそらく年内はずっとこんな調子が続くのだろう。
それでもこの会社で学んだことは、それを補ってあまりあるほどの経験と知識の土台を私にくれた。
今が自分の折り返し地点だと思うと、残りは好きなことをだけをしようと思った。
もともとは40歳になったら、サラリーマンを辞めようと思っていた。
何をするかは決めていなかった、ただ、毎日最低でも8時間も拘束される仕事なんて絶対やらない・・・と決めていた。
掃除のおばさんでも、レジ打ちでも何でもいいから、週の何日かだけ働きたいと思っていた。
せっかく会社を辞めたんだから、折り返し地点だからとフリー・ランスになることを選んだ。
今は、コーチングを中心に、企業のマーケティング・サポートや、人材育成の手伝い、以前の会社の仕事の手伝いをしている。
仕事の拘束時間は激減し、なんだかんだ収入も落ちていない。
通勤時間と上司への報告書類の作成、根回し、仕事の付き合いによる会食・・・・こういうものにどれだけ時間とエネルギーが取られていたのかがよくわかった。
40歳前に自分の気持いいワーキングスタイルが見つかったのは、ラッキーだった。
もう誰の部下にも、上司にもなりたくないなと思う。
目標を自分の中に持つのをすっぱり止めて、その場その時を大切にしようと思う。
だって、折り返し地点だから、後半分だと思うから、余分な人生の荷物はどんどん捨てる、やりたいことを全部やるんじゃなくて、絞り込む。
身体の具合は確かにおかしい、昨日の晩も一睡もできず、おそらく今日もそうなるだろう。
そして明後日からは入院。
そのために今日は休み中仕事が回るようにと頭がふらふらしつつも仕事をしていた。
でも、今の生活はしあわせだ。
充実しているというのとはちょっと違う。
ごくごく単純なしあわせ。
そういえば、村上春樹の短編に全く眠れなくなる女性の話もあった。眠らないのに全く眠くならないのだ。
今の私と同じ。
そして、彼女は真夜中に「アンナ・カレニナ」を読み、チョコレートを食べる。
本当に久しぶりにクラッシックのCDを聴きながら・・・・、私は須賀敦子の全集を読む。
折り返し地点を曲がった。
だから、残りの時間はこういう本当に好きなことに充てる。
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上記は2007年に書いた記事。
2015年現在、体調はすこぶる改善した。
そして現在の私はゴール70歳じゃなくて、50歳でよいのでは?と考えている。
あと、5年ぐらいと思っている。
そう思うとますます、やりたいこと、やりたくないこと…が、はっきりしてきた。
それが自分にとってよいことなのかどうかは、まだよくわからない。
yoshikooさん、これは、回転木馬のデットヒートに入っている、プールサイドだと思います。私もなぜかこの部分は、折に触れて思い出します。
回転木馬・・・は確か、人から聞いた話をまとめたやつでしたよね。レーターボーゼンの話が入っているやつですね。
もう一つの眠れない女の話は、TVピープルかな・・。
自分が年をとったのか、作者が変わったのか、私は昔の作品のほうが今でも好きです。
これで2回の書き込みですが、まずは、身体を大事にされてください。小職も決していい状況ではありませんが、次の世代に残したいものがあります。それを言い伝えるには、まずは、健康です。
お見舞いのコメント有難うございました。本当にまずは健康ですね。しみじみそう思います。
yoshikooさま
こんにちは。ご無沙汰しております。いつもブログ拝見してます。体調崩されたとのこと、心配です。お大事になさって下さい。
こんにちは。おうちの件もずんずん進んでいるみたいで、着実に前進ですね。楽しみにBlog拝見しています。
体のほうはおかげさまで本調子になりつつあります。お見舞いコメント有難うございました。嬉しかったです。