米国コーチング事情

今回のアメリカ出張ですごく良かったのは、アメリカのプロフェッショナルコーチと話ができたこと。

コーチングは大きく分けると「パーソナル・コーチング」と「ビジネス・コーチング」に分けることができる。
前者はクライアントの人生全般を取り扱うというかなり枠が広いものだが、実際には人間関係、ワークライフバランス、将来の設計、タイムマネジメント、キャリアマネジメント等が多い。

後者は、その人のセールススキルをアップするとか、会社やチームのターゲットを如何に達成するかなど、もっとビジネスにぐーっとフォーカスしたものが多い。(目標がある程度狭められていると言えるかもしれない)
私が主に扱っているのはパーソナルコーチング。

アメリカでも、パーソナルコーチの存在は未だそれほど広く認知されているわけではなく、そもそもセラピストと言う職業がかなり行き渡っているため、その両者が混在して提供されていることが多いそうだ。
資格に関しては、二つぐらいそれなりに主流のものがあるらしい。
受験をするには相当な時間数のトレーニングを受けなくではならないが、資格を持っているというのは、クライアント獲得の「Help」ぐらいにしかならず、資格そのものは「MUST]ではないため、大半が資格を持ってコーチングをしているというものでもないらしい。
どちらかと言えば、いかに個人にリーチできる営業力があるか?のほうが大きいそうだ。

一方のビジネスコーチングに関しては、資格を認定している機関もあるそうだが、残念ながらほとんど知れ渡っておらず、全く無用とのこと。
必要なのはとにかくビジネスの実績。

確かに、アメリカのビジネス書を読んでいると大半の人がコーチングですごい人数のクライアントに接したと書いてあるが、これは実態としては日本でいうところの「営業研修」や「人事研修」の講師であることも含まれているようだ。
さらに、日本で言うとビジネス・コンサルティングと呼ばれる領域もどうやら彼らはビジネス・コーチングと呼んでいるらしい。(もちろん、1対1のコーチングもある)

私が今回接したのは何方もビジネス・コーチだったので、尚更だけれど、「パーソナル・コーチは儲からない」「コストが見合わない」とはっきりアドバイスされた。
確かに企業研修で10人程度を一度に取り扱うのと、毎回1時間近く電話で一人一人に対応するのでは、全然収益率が違うというのはよくわかる。

とはいえ、私は今まで通り、私のブログを読んで私とセッションを持ってみたいなと思ってくれる人の話をうんと聞いて、それから二人で一緒に整理して、進んでいくというのを繰り返したい・・・・と言ったら、だったら、「エグゼクティブにフォーカスを絞ったほうが良い」とのアドバイスだった。
どこまでもビジネスを追求する彼らのアドバイスは中々興味深くて、私のやりたいこととはずれているけれど(笑)すごく勉強になった。

日本のコーチングはこの先どうなるのかな?
当分、日本ではビジネス・コーチングと言うより、ビジネスコンサルティングと名乗る方が料金も高く取れるような気がする。
パーソナルのほうは、カウンセラーの存在がごく一部に行き渡ってしかいない日本では、コーチをつけるほうが主流になるような気がするんだけれど。
私の推測の答えが出るのは3年後ぐらいかな・・・。

追伸:
この記事は2008年に書いたもの。
出張は当時業務委託を引き受けていた会社の本社に呼ばれ、研修を受けさせられた。
交渉力と意思決定者(Decision Maker)と以下に話を進めるかという研修内容だったと思う。
トレーナー(コーチ)は、本社でものすごい営業成績を叩きだしたという男性2人だった。

さて、そこから7年経って日本のコーチングはどうなったか?と考えてみたが、どうもわからない。
私は結構長いことコーチをやっている方だと思うが、いわゆるコーチング業界と離れたところにいるので、業界事情にぶっちゃけ疎いのだ。

それでも、最近コーチングの申込みを受ける方が、以前にもコーチングを受けたことがある…という方が増えてきたのを見ているとそれなりに浸透してきたのかな…と思う。
この時の「分け」で考えると、今の私のクライアントはかなり具体的なビジネスの話が多くなってきて、パーソナル・コーチングとビジネス・コーチングの割合が逆転している。
とは言え、結局ビジネスをするのは個人なわけなのだから、今日のセッションはパーソナルに寄っているが、前回はビジネス寄りだったとか、同じクライアントでもそうはっきり分かれているというのは無い。

私は講師業はやらないのでよくわからないが、やっぱりコーチングだけでまったく講師業をやらないで食べているという人は今も少ないんじゃなかなぁという気はする。
私自身もコーチングよりも、企業の顧問業(コーチングと関係ない)が収入の柱になっているのが現状だ。

何となくインターネットで見る限り、コーチングの資格を色んな種類取って儲けましょう…とか、コーチングクライアント集めに困っているというコーチ向けの広告ばかりが出ているので、多分コーチの人数は増えているのだろうが、どちらかというとコーチにたかっって食べている業種が急増しているような気がする。

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