投資すべきは、マーケティング or 営業???

私は個人の方に、コーチングを提供する以外に、法人のお客様に対して顧問と言うかたちで様々な支援を行っています。

メインは、マーケティング全般についてのアドバイスと営業育成です。
どちらもIT業界のお客様がメインです。
顧問契約のスタートは営業育成から始まることが多いのが現状です。
ベンチャー企業というのは、なかなか経験豊富な営業スタッフを採用することができません。仕方なくて、営業未経験者、営業経験はあるがIT業界は未経験者を採用することが多いです。
しかし、一方でベンチャー企業には、未経験者を育てる時間や仕組みがありません。

特に社員20〜30人以下のベンチャーというのは、社長自身が9割ぐらい稼いでいたり、社長と一緒には始めた営業取締役が9割稼いでるというのがほとんどです。
この人たちが会社を支えているわけですから、当然育成している暇などなく、自分たちの営業活動についてこさせて、鞄持ちをしながら学んでくれ…ということになるのです。
当然ですがそんな形で育ってくれる自発的人材は滅多にいません。

ということで、私のところにご相談がやってくるということになります。

実際にご訪問してみると、だいたいこの規模の企業というのは、マーケティングツールがほとんど揃っていません。ホームページは、会社概要とちょっとした製品やサービスの紹介に留まっており、検索エンジンからの流入もなく、商談後にお客様が見ても、うーん、この会社大丈夫?というようなものが多いです。

では、チラシやカタログ、すぐに使える営業資料のテンプレートがあるか?というとこういったものも用意されておらず、こうなると未経験者が全て営業資料を作り込みをしなくてはならない。
ところが、未経験者には、どうやってそのような資料を作っていくのかがかまったくわからない‥ということになります。

ということで、営業資料作成の名のもとに最終的には営業とマーケティングの両方をお手伝いする…ということになりがちです。

そんなことを数年やってきて、売上を上げるのに、営業とマーケティングのどちらにどのぐらい投資をするべきか、その投資額をどう分配するべきか?というのを常々考えています。

【マーケティングに投資すべき!という会社はこんな会社】
・優秀な営業がいない。採用できない。

ベンチャーであっても、営業部長や営業畑出身の経営者がいらっしゃり、且つその方に人望があると、以前の職場からそれなりにできる営業が転職してくることがあり、それなりに機能する営業チームを組むことができます。
また、製品やサービスそのものにすごく魅力があって、その魅力に目をつけて自発的に働きたいという営業がやってくるというケースもなくはありません。

しかし、これは非常にまれなケースです。上述したように大体は帯に短し襷に長しというレベルにも行かない人を何とか育ててみようと採用することがほとんどです。

こういう営業ですと、提案営業というのがなかなかできません。
提案営業というのは、お客様のお話を聞いてお客様が何が欲しいか、どのようなことでお困りかを的確に見抜き、それを解決するためのサービスや商品を提案する営業のことです。
(さらに優秀な営業は、お客様が気づいていないニーズを汲み取って、そこまで含めて提案が行えるという人材です。)

<Memo>

IT業界では、こういった提案型の営業のことを「ソリューション営業」とも呼びます。
一方、何の提案もできず、単にお客様から、「ABCXXXXという製品がほしいんだけど」と言われて、言われたとおり、ABCXXXXという製品だけ納めるタイプの営業は「箱売り営業」などと呼ばれています。文字通り、製品のつまった箱を持っていくだけなので…

・製品やサービスに独自色がある、もしくは同業他社ときちんと差別化ができている。

このような商材を持っている企業であれば、これはマーケティングに投資を行うことで、検索エンジンから見込み顧客を発掘することも可能です。

見込み顧客からの問い合わせに対して、営業がお客様先に行く場合は、商談成立となる可能性が高いです。なぜならお客様はある程度、その商材買う気になっ他状態で問い合わせをしているわけですから、そこに説明を行くだけで、これは非常に楽な商談となります。
こういう購入見込みの高いお客様を「ホットリード」と呼んだりもします。

ホットリードを集めるには、マーケティング活動は欠かせません。ですので、イケてない営業の多い会社ではマーケティング活動に投資し、ホットリードをいうかに集めるかというのがKeyになります。
(マーケティング用語ですと、リードジェネレーションというやつですね)

少し考えればわかると思いますが、飛び込み営業というのはもっとも獲得率が低い営業でもあります。まず、担当者に会える確率も非常に低いですし、お客様がその商材にまったく興味がないというケースが多いわけですから。
その気になっているお客様とその気のないお客様では、大きな違いがあります。

ちなみにまったくその気のないお客様は、ホットリードに対して、「コールドリード」と呼ばれます。
温度差が分かる言葉ですね。

【営業に投資すべき!という会社はこんな会社】
・製品やサービスに独自色や差別化が打ち出しにくい

例えば、IT業界でいうとシステムの受託開発ですとか、SESと呼ばれるエンジニア派遣、それからネットワークの敷設といったインフラ構築などがこれにあたります。

皆さんの身近な例で言うと、ホームページ制作なんていうのもここに入ります。

参入障壁が低い分、競合他社が多く、そして自分たちの会社はここが違う…というのをとても出しにくいタイプの業種です。
こういう会社はいくらWebサイトに投資をしてもなかなか検索エンジンからの流入が見込めず、そうかといってGoogle AdWordsのようなタイプのものに広告を出しても、いかんせんやればやるほど競合他社も同じようなマーケティング施策を打ってきますから、消耗戦になりがちです。

こういう場合、発注側としてはいくつも業者がいますので、見積と提案を複数社に依頼し、いわゆる相見積もりを取ると言うかたちになります。

発注金額があまりに安い場合をのぞき、大体の場合は各社の営業がプレゼンをします。
正直いうとこの手のものは提案内容にそれほど大きな差が出ることはありません。

このときに受注の決めてになるのが営業なのです。
数社で似たようなプレゼンになると営業ができる人かできない人なのかでほぼ決まります。
値段が多少高くても、その営業が信頼がおけるとお客様が認識すれば、高いのもやむを得ないし、むしろ高い分だけしっかりした企業のようにすら見えてくるものです。

もちろん、前述したいようにいい営業人材を雇うのはなかなか指南の技です。その場合は、きちんと営業教育に時間とお金をかけるという投資も必要となります。もちろん、これも営業への投資ですね。

いい営業人材を雇い、ふんだんにマーケティング費用もかけてという風にできれば、どこの企業もHappyかもしれませんが、現実的にはリソースには制限があります。
自社はどちらに投資するべきか?‥というのは迷いどころですが、そんなときに自社の商材の性質と営業メンバーの採用状況をみて、上記に照らし合わせて考えてみるとよいでしょう。

「レッドオーシャンの市場では営業に投資。ブルーオーシャンの市場ではマーケティングに投資」がそれぞれ効果的です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

  1. 2021.06.26

    minutes No.24
  2. NO IMAGE
  3. NO IMAGE

    2005.01.12

    時間の棚卸
  4. NO IMAGE

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。