現代アート入門の入門

アートプロデューサー山口裕美さんによる本。
著者のサイトはこちら→「トウキョウトラッシュ」

さて、そもそもなんで現代アートなのか?
あることをきっかけに、ちょっと私も現代アートというものを観てみるか・・・・という気分になった。
私の勤め先は、東京ミッドタウン。日本のデザインハブとも呼ばれているし、そこら中にオブジェや何かもある場所だ。

ところが、この現代アートというやつ、いったいどうやって鑑賞すれば良いのかイマイチわからない。
いやもっと大前提として、どこからアートなの?という疑問がある。

そんな疑問を少しでも解消してみようと手に取ったのがこの本である。

この本で著者も取り上げているが、そもそも日本の展覧会って印象派の絵画というのがものすごく多い。
しかし、本当に日本人は印象派が好きなのだろうか?という疑問を投げかける。
中学や高校の教科書で何となく馴染んだだけで、自分は印象派好きのような気がしているのでは?という意見は、なるほど・・・・と思う。
それだけ、私達の身近にアートが少ないとも言えるだろう。

日本の美術館はなぜあんなに静かなのだろうか?そしてなぜ隣接するカフェはあんなに貧弱なのだろうか?というのは、私も大いに疑問だった。パリの美術館は、本当に街に溶け込んでいて、自由な空気が流れていた。

前半は日本の美術界の現状と問題点について、貸し画廊や日本の美術館が日本人アーティストの作品を収蔵しないことなどについて、イキイキとした筆致で書かれていてとても興味深い。

本書の後半では具体的なアーティスト名や美術館を揚げて、その解説がずらりと並ぶが、えええ、これも現代アートに含まれちゃうのですか・・・・というのがたくさんあって、頭がくらくらしてきた。

特にインスタレーション(ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術)には興味を惹かれた。
ぜひこれは体験してみたい。

読んでみたら、ますます現代アートの持つ深くて広い受容性に広さに混乱したけれど、ちょっとだけその片鱗に触れた気がした。
ごちゃごちゃ考えずに、まずはアート触れてみようぜ!という気分になった。

追記:
上記は2009年の記事。
最近は、日本の美術館のカフェ格段によくなったと思います。
インスタレーションは、先日原美術館で初めて体験しましたが、とても印象深かったです。

今、読んでいる現代アートの本「アートにとって価値とは何か」もとても興味深くて、私のようにまったく現代アートがわからない人でも引きずり込まれます。
2009年は本を読んで、「へぇ〜」と思っているだけでしたが、2015年は実際に色々と観て回りたいところまで気持ちが上がってきたような気がします。

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