知的生産の技術

1月に会社を退社し、その後何をしているかと言うと、ひたすら本を読んでいる。
毎日の7割は本を読むことに費やされている。
残りの1割ぐらいで、犬と散歩し、その残りの2割で時に友人を酒を飲み、あとは卒論を書いたりゆるゆるしている。

梅棹先生によれば、それは知的活動ではあるが、知的消費というもので、知的生産ではないとのことである。
確かにその通りである。

今回のお休みでは、これまで読みたい、読みたいと思いつつ、じっくり腰を据えて読まないと理解できない本をまとめて読む。
テーマとしては、ざっくり世界史、ざっくり宗教関連、ざっくり日本史(本当は予定外だったのだが、世界史関連を読むと、そのとき日本は何していたの?というのが気になってしょうがない)、あと中華思想、それとは別に具体的作家として、レヴィ・ストロース、岸田秀(再読)、トクヴィル(どういう選択?)を読みたい。

で、さらにできれば基礎的な経済学をそろそろ軽く理解しておきたい…という私の能力に比しては壮大なことを考えている。
まぁ、一言で言えば、電車でちょっとずつ読んでいる程度じゃ私の理解力、集中力では絶対理解ない本を読みたいということかな。

で、よく聞かれるが「なんでそんなに本を読むんですか?」「なんか目指しているんですか」ということである。

まぁ、今挙げた本を読むとお分かりいただけると思うが、読み始めると、そもそもその本を読むためには前提となる本と歴史があり、さらにその本の中で激賞されている本があちこち出てくるのである、そうすると、その本を読了したと言い切るには、関連本もある程度理解していないとならない。
でも、そうすると関連本が関連本を呼び、エンドレスになってしまうのである。
ということで、目的は特にないが、書いてあることを理解したいため、また理解した!と感じた時の快感を得るためにやっているのである。

で、長くなったけれど、次に何を読むか?とか、膨大な本を読んできた研究者たちはどんな感じで本を読んでいるのかが知りたくて、この「知的生産の技術」の本を購入した。
少し前に「考える人」で特集があって、先生の資料が全部英文タイプで管理されているのを見て、うーん、この人はすごい、研究をあとに引き継ぐというのを考えているのだなぁと、パソコンの無い時代にパソコン的管理を早くも考えていたのか…と衝撃を受けた。

もう一つの購入理由は、この本は祖父の本棚にいつもあって、確か私も拝借して読んだ記憶があるのだが、「ふむふむ」と思った記憶はあっても、特に衝撃を受けた記憶がなく、いったい自分はいつどこのポイントで「ふむふむ」と頷いていたのか、当時どの程度理解していたのか、知りたくなったのである。

読んでみると、本は全部を読まない限り、レビューを書かないというのがこの本で書かれており、もしかすると私が同じようにしているのは、この本の影響だったのかもしれない。
ネットにはたくさんの書評サイトがあり、いくつかはRSSで読んでいるが、有名なサイトでも「あれ、この人最後まで読んでないな」というのは、結構あり、そういうのは、Watchリストから外す。
あとは、相性の問題なのか、その人の書評レビューを読むとすごく面白そうでつい買ってしまうのだが、面白かった試しがないというのもある。
でもこのサイトのレビュー自体は好きなので、ついつい読んでしまう。

考えることをまとめるときに、必ずノートを使うという発想は著者の場合、ダ・ヴィンチからきているそうだが、これは私も同じ。
頭のなかに置いておくと他のことが、入ってくる容量がなくなると信じているので、かならずノート(私の場合はフランクリン・プランナー)を使っている。
今は、単なるメモ書きなのだが、単語の羅列ではなく必ず文章で書いておくとさらにもっと後から使い勝手がよくなるらしいとのことなので、これは試してみる。

梅棹先生と言えば、有名なのが「京大カード」。前から使ってみたいと思っていたのだが、今回の卒業論文作成に使ってみようと思っていて、試行錯誤のなか使っている。
私は手書きで作っているが、最近手書きをする機会がないので、いかに漢字が書けなくなったのかを実感し、ひえーと思っている。手で書いたほうが記憶に残るというのは、本当だなぁとしみじみ思う。

全体に単なる知的生産技術のHowto本になっておらず、先生の苦心談がユーモラスですごく楽しい。こんな先生の授業受けてみたかったなぁと思う本である。

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