いわき日記 二〇二二年九月 蟄虫坏戸 (むしかくれてとをふさぐ)

二時過ぎに目が醒めてしまって、そのまま起床。睡眠不足は電車の中で補うことにしよう。

今日はようやく時間が見つけられたので、いわき市立美術館へ。
昨日調べたアプリでは、5時40分台の横須賀線で逗子から品川に出て、特急ひたちに乗っていわき駅までとなっていた。
えきねっとの存在を知り、サイトから事前に特急券が買えることがわかり予約。こちらのほうが通常より安く買えるというのを初めて知った。
みどりの窓口を減らしているから、JR全体でデジタル化を進めているのだと思うが、JRのサイトというのは、私の中で最高にUI/UXのイケていないサイトである。
JR関連のIDだけで、いくつも持っていて毎回アクセスするまでにいったいこれはどのIDを求めているんだろう‥と悩んでいる。今回もJREカードやSuicaとの連携にそれなりに時間を取られた。

話を戻すと、なぜ7時半過ぎのひたちに乗るのに、6時前に逗子駅を出るんだ?とふと気になったのが今朝の4時前。
Yahooマップで調べたら、案の定6時40分台の横須賀線に乗ればいいと書いてある。
その前に調べたアプリだと1時間以上、品川で待つことになっていた。いやいや、これバグなのか?だとしたら、かなりまずいバグだと思うのだが。

時間を見直したおかげで、駅前で朝マックにありつけた。
えきねっとで、品川からいわきの特急券とあわせて乗車券も買ったので、その場合逗子からの品川までのSuicaってどこで精算?と思って、事前に逗子駅で確認したら、品川の新幹線改札口でと言われる。
特急って新幹線のところに来るんでしたっけ?と聞いたら、「そうです。」との回答で、そのまま品川駅に行ったら、案の定特急は在来線と同じホームに来るので、新幹線口の改札など通らない。仕方ないので品川の窓口で精算してもらう。

多分、正解は特急券だけ駅ねっとで予約して、乗車券は全部Suicaにすればよかったんだと思う。

特急は柏を過ぎてしばらくすると急にビルが減って見晴らしがよくなる。稲が干してあるのを眺めたり、大きな平家を眺めて、ああいうところで犬と暮らしたら楽しいだろうと妄想に耽る。

いわき駅周辺も車窓から眺めた景色もそうだけれど、車がないと生活できない…とよく聞くが、どちからというと車前提で街が造られていて車が生活しやすい‥というのが正しい言い方なのかもしれない。
道は真っ直ぐで、大通りは車線が充実しているのもそうだけれど歩道も広くとってあり、お店の駐車場も平置きが多く、自宅の駐車場も入れやすそうだ。(逗子では、この駐車場にどうやってこの車を入れたんだ?凄腕ドライバー?という家があちこちにある)

23区は道は真っ直ぐなところはそれなりに多いが、車は停めにくいし、駐車場も少ない。そのために路上駐車もひどい。
逗子、鎌倉にいたっては、道は真っ直ぐじゃないし、抜け道もないし、歩道と車道の区別がつかず、ガードレールがあるところも少ない。
この辺りは古くからの住人が多いから再開発もやりにくいのだろう。
私が暮していた下町エリアは、古くからの住人も多いけれど、企業の施設の移転や駅の閉鎖などにより、大きな土地が空いてそれがそこそこ駅に近いと再開発に入ったりしていたが(錦糸町Olinas、カメイドクロック、アリオ北砂など)、逗子、鎌倉にそんな場所はない。

新しく駅がオープンして、きれいに整備するという幕張本郷のようなパターンもこの近所では難しいだろうな‥と思う。そもそも湘南国際村まで電車を延伸するというの自体挫折しているというのも聞いているぐらいだし…。

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いわき駅到着。美術館までの道は、歩道広くて道が真っ直ぐで歩きやすい。秋晴れの気持ちの良いお天気と金木犀の香り。

いわき市立美術館は、いわき駅から10分ぐらいのところで便利ではあるが、建物としては全くイケていないし、併設のレストランも微妙。
美術館はアート鑑賞より、美術館という建物が好きな私には、ちょっと残念ではある。いつだかいった名古屋市立美術館もそうだったが、美術館に使える予算が限られているのだろう。
それでも2階の天井は高く、窓が広く取ってあって明るいし、今回の展示に併せて階段部分に、がまくんとかえるくんと思われる足跡をつけたりとあれこれ工夫が見られて、頑張っているなぁ‥という印象。

「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展は、私にとってはわざわ行く価値が充分にあった展覧会だった。
この絵本作家の人となりがよく見える展示や「がまくんとかえるくん」以外の原画の展示も多く、随分といろんなタイプの絵が描ける人だということを初めて知った。
どの仕事もびっくりするぐらい丁寧で美しかった。

絵本ができるまでの制作過程の展示も仕事の上でもデザインの勉強の上でも参考になった。原画には原文が横にあるため、なるほど英語ではこう書かれているのか、英語の文章も温かさにあふれていて、それを全く損なっていない翻訳も素晴らしい仕事だったのだなぁと改めて知ることができたのもよかった。

ミュージアムショップでは、買いたいモノだらけで卒倒しそうになったが、グッズなどを買うときりがないので、今回の展覧会の図録的なものと、「がまくんとかえるくん」のシリーズ全文が収録されているという大型本を購入。

ランチを食べてから、公園のベンチで、特急に乗る時間まで買った本をひたすら読む。

そういえば、10代頃はよく公園のベンチとか駅のベンチとかで本を読んでいたことを思い出した。
私はやたらにバイトをしていたので、かなりお小遣いを持っていたのでカフェに入るお金もあったと思うのだが、どういうわけか思い出すのは外のベンチばかりだ。

最近は本を読んでいても、やらなきゃいけないこととか、やったほうがいいこととかやたらに思い出して集中できないのだけれど、久しぶりにこういったことが全く頭に浮かばないというのは、家(そして今や職場でもある)から物理的に距離があるというのも大きな理由かもしれない。

久しぶりに一人でたっぷりぼんやりできたので、満足して帰路に着く。

19時過ぎの逗子駅には、夫とくるみ(ミニチュア・シュナウザー)が迎えに来てくれていた。私を見つけたときのくるみのはしゃぎっぷりが、とにかく可愛くて、やっぱり家もいいなと思う。

逗子もそろそろ金木犀が香りだすのかな。

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