時間

吉本ばななのキッチン“の冒頭を借りて言うならば、私は図書館をこんな風に思っている

私がこの世で一番好きな場所は図書館だと思う。
どこのでも、どんなのでも、それが図書館であれば本を読む場所であれば私はつらくない。できればできるだけたくさんの本があって、空間がゆったりしていて大きな窓と居心地の良い椅子があると良いと思う。たくさんの本がきちんと整理されてやさしい光を放つ。
ものすごく汚い図書館だって、たまらなく好きだ。
本が乱雑に散らかっていて、埃が多くて、古い机があるといい。いつまでたっても読み終えることができない本に囲まれながら、本の背表紙をゆっくりと眺める。コーヒーのシミのある本や、背表紙の落ちそうな本から目を上げると、窓の外には淋しく星が光る。
私と図書館が残る。自分しか残っていないと思うよりは、ほんの少しましな思想だと思う。
本当に疲れ果てたとき、私はよくうっとりと思う。いつか死ぬときがきたら、図書館で息絶えたい(できれば、Banana fishのアッシュのように、大切な手紙の代わりに大切な本を読みながら・・・)。ひとり寒いところでも、誰かがいてあたたかいところでも、私はおびえずにちゃんと見つめたい。図書館ならいいなと思う。

ほとんど毎日のように図書館に立ち寄る。
本棚を眺めながら、一つの段に3冊も4冊も読んでみたい本が見つかることもある。嬉しいと同時に感じるどうしようもなさ。
自分は絶対に読みたいと思う本をすべて読んでから、死ぬことはむりなんだと思うから。

やりたいことは山ほどある。
美術館にも行きたいし、音楽会にも頻繁に顔を出したい、文楽も随分と見ていないし、お能も行きたい、一つ行きだすといくつも行きたくなる。
その場所で配布されているパンフレットには、必ず誘うようにその他類似する催しの案内が数枚含まれている。そのために軽くため息をつく。

どれも好きだけれど、一番はなんといっても本を読むこと。
そう思うから、好きなことを増やさないように気をつけている。
そうしないとあっという間に、どれも中途半端になってしまうから。

コーチングの際に、よく本を読む時間がありますね?とどのクライアントの方からも聞かれるが、それは多分他の趣味に時間を使わないように実は注意を払っているせいかもしれないとふと感じた。

時間はたくさんあって、でも限りがある。
優先順位はそのときの状況、年齢、生活によって変わる。
でも、一番大事なことだけは決めておく必要があると、このところしみじみ思う。

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コメント

  1. ぽち

    メールしたokabeです。
    私も本は大好きです。本にうずもれて過ごしていたいくらい。
    でも、私が本をゆっくり読める場所は「通勤電車と喫茶店」だったのです。
    ずっと10数年、本が読めるようにラッシュを避け誰よりも早く電車に乗っていた私です。ところが今、車通勤になり、自宅でうんとたくさん時間があるにもかかわらず本を読みにくくなっています。
    それでも読みたい本を何冊もコタツの上に積んでちびちびとは読んでますが・・・

  2. yoshikoo

    最近、喫茶店という言葉も何だか懐かしい感じのような気がします。どこもチェーンになるのも淋しいですね。
    私の最近のお気に入りは公園での読書ですが、寒くなるのでそろそろ店じまいかもしれません。
    コタツ憧れますね。夫が絶対にコタツから出ないからと認めてくれません。コタツ大好きなんです(嫌いなひとなんていないかも・・・笑)

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