先日書いた「シゴトノキホン メールの処理の仕方」について、質問をいただきました。
以下は、その質問に答える形で、私が日々現場で思っていることを書き綴ったものです。
「こういうことって指導して直るものなのでしょうか?
私の経験では、そもそもの能力やリソースが足りないためにその処理そのものができないというケースばかりでした。
最近気がついたのですが、そういう能力やリソースの少ない人は、優先順位を付けて仕事をすることができず、常に割り込み処理だけで仕事をしています。端で見ているともう思いつきで仕事しているようにしか見えません(苦笑)
2昔くらい前のCPUがそんな感じです。(今やっているH8SXが正にそれです)」
私は、仕事ができるようになるには「適性」が必要とか、ある程度の「地頭」が必要という意見に首を傾げることが多いです。
というのも、「適性」とか「地頭の良さ」が必要となる仕事ってそれほど一般に多くないような気がするのです。
普通にサラリーマンで「仕事ができる」と評価されるには、ある程度の訓練と本人の意識で何とかなります。
もちろん、そもそもの適性やそれまでの育ってきた環境によって、できるというレベルになるまでの到達時間は異なります。
ただ、時間をかければだれでも十分に「できる」ようになります。
本人が自分はレベルが低いとか、スタートの時期が遅かったという認識がある場合には、ぶっちゃっけ人の2倍働き学ぶことを実行できれば、かなりのスピードで「普通」レベルになり、それが継続できれば結構早いうちに「できる」というレベルに到達します。
でも、大抵の人は、言い訳ばかりして実際の行動をしないので、「できない人」は「できない人」のまま過ごすことになります。
また、できるようになるまでに時間がかかれば、当然組織の中での出世には響きます。
大人数を動かす組織では選抜と切り捨てが必要になりますので、早い時期に選抜から敗退した人にチャンスが回ってくることはほとんどないと言っていいと思います。
このようなことから時間の掛かる人は傍から見ると、ダメな奴は何をやってもダメ…という風に認識されることが多いのだと思います。
さて、それでは本題に戻ってご質問への回答をしていきます。
まず、「メールの処理の仕方」について書いた方法は、優先順位をつけません。
ひたすら、その場で最新のメールから片付ける方法です。
質問者の言うとおり、仕事の中で優先順位がつけられない方という人は、たくさんいます。
本人の問題もあります。
職場全体の問題でいつも緊急に対応しなければならないことばかりで満ち溢れている組織もあり、こうなると割り込み仕事ばかりに対処するだけになってしまい、優先順位をつけても無駄な職場環境であることも多々あります。
ですので、「優先順位はつけない」というやり方をここでは薦めています。
ご質問にある「常に割り込み処理だけで仕事をしています。端で見ているともう思いつきで仕事しているようにしか見えません」というのは、おそらくその通りなのだと思います。
優先順位がつけられないというよりも、この手のタイプの人は、基本「先延ばし癖」が染み付いてしまっているのだと思います。
面倒な仕事は後回し、だから割り込みで且つ急ぎの仕事で、どうしてもその場で片付けないとまずいものとか、簡単で手をつけやすい仕事ばかり片付けます。
事前の計画や見積が必要な仕事は手を付けず、そのためいつまでたっても計画や見積、段取りが必要な仕事ができるようになりません。
そういう部下の仕事ぶりを改善させるためにも、「シゴトノキホン メールの処理の仕方」の考えは役立ちます。
なぜなら、そういうタイプの部下は、ややこしいメールに返事を書かず、「了解しました」というようなメールばかり返してくるから、すぐわかります。
その返事を見たら、しつこくしつこく「最新のものから必ず片付けろ」という指導をすると、自分の中で優先順位を上げてうるさく言われないように、渋々ではありますが、やるようになります。
この手のタイプはとにかく目の前の面倒くさいのが嫌…というのがほとんどですから、上司として指導する人は、やらないと面倒くさくなるというのを仕向ける必要があります。
はっきりいって、上司にとっては嫌な仕事ですが、まぁ、上司の仕事ってそんなに楽しい仕事ないですから…、それにここでそれを上司まで面倒くさがると、上司として後でもっと面倒くさい思いをするのです。
上司の人こそ、面倒くさい仕事を「先延ばし」するのは止めましょう。
ごちゃごちゃ書きましたが、いただいた質問への回答は以下の通りです。
「シゴトノキホンで書いたメールの処理のやり方は、仕事の優先順位がつけられず、計画性のない方にこそ効果があります。お困りのスタッフや部下がいるときに、ぜひ一度試してみてください」
追伸:
先延ばしグセがあるな…と自覚のある人は、ぜひ一度、「ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか」という本を読んでみてください。
私も子供の頃から、非常に面倒くさがりの先延ばしタイプでしたが、この本を読んでみて、先延ばしの恐ろしさにゾーッとし、さらには今まで先延ばしでどのぐらいの損失を生み出していたか‥というのを自覚して、少しずつ先延ばしグセが改善されてきました。
「先延ばしは止めよう!」と心がけるだけでも随分と改善されます。
また止めてみると、「なんだ、こっちのほうが全然ラクじゃん…」というのがよくわかります。
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