日々のマネジメントを振り返る 3(メモの一元管理)

前回、仕事とプライベートの一元管理ということで、すべての情報をフランクリン・プランナーに集約するという話を書きました。
集約する情報についてもう少し補足しておきます。

メモを取らなきゃいけないときは、何もかもフランクリン・プランナー(FP)に書くことが原則です。
打ち合わせの議事録、取引先との商談、かかってきた電話、上司からの指示、身近な人との約束や、やらなくてはならない小さなタスク(例:帰りに歯磨き粉買ってかなくちゃ!とか、足は銀行にお金をおろし行かなきゃ…など)もすべて記入するのが基本です。

このようにすることで、「あの件、どこにメモしたっけ?」ということや、「あれ?何かしようと思っていたのに、さっきまで憶えていたのに…」みたいな時間の無駄遣いを防ぐことができます。
この効果は、劇的にあなたの時間管理を向上させます。まだやっていない方はぜひここから始めてみてください。

若い頃から一切メモを取らなくても大丈夫‥と言い、年齢を重ねても自分の記憶力が衰えないことを誇りに思い、メモをとらない方は結構います。
記憶力がよいことは素晴らしいと思います。
しかし、メモは物事を忘れないように取るためだけのものではありません。またメモを取る習慣がないことは、あなたが考えている上に生産性に悪い影響を与えていることもあります

【メモを取る習慣を持つことによるメリット】

1) あなたがメモを取ることで周囲が安心します。

上司からの指示、プロジェクトメンバーとのディスカッション内容、友人や家族との約束、こういったものについて、その場でメモを取るあなたの姿を見ることによって、周囲はあなたがこれらのタスクについてきちんとやってくれるだろうと信頼し、安心することができます。

また、メモを取るということは、この約束を大事なものだととらえているというメッセージを相手に送ることでもあります。
忘れがちですが、子どものとの約束も非常に重要です。
子どもの目の前でメモを取ることにより、子どもに対して、親が子どもとの約束を大事にしているというメッセージを発することになります。

コーチングのクライアントの方々からも、子供との約束をその場でメモしたら、お子さんがすごく嬉しそうにした‥というお話もよくうかがいます。
お子さんとの約束をついつい忘れがちな方は、ぜひ試してみてください。

また、上司に呼ばれたときにメモ帳やノートを持っていくのは社会人の基本です。
これができていない人は、今日からすぐにやりましょう。
これだけで上司からの心証はぐっとアップします。

2) 忘れることで生産性が上がります。

生産性向上の考え方として、有名なGTD(Getting Things Done)の提唱者であるデビット・アレン氏は、頭を保管庫として使うのはムダである。私たちの頭はそういうことに向いていない。私たちの頭はアイデアを産むための場所であって、そこにアイデアを保管すると、アイデアを産むスペースがなくなってしまう。だからこそ、すべての物事を書き出すことが大事である…と言っています。

”Your mind is having for ideas, not holding them”
David Allen

「これを忘れないようにしよう」、「これを憶えておこう」‥というのは、脳を疲れさせます。。脳のリソースの無駄遣いです。
そのうえ、忘れることも多々あります

紙に書くのなんて、数分もかからず済むことです。これで劇的に生産性は向上します。
さて、なぜなぜやらない理由があるのでしょうか?

3)メモを取ることで、そのタスク完了に必要なことがその場で思いつき、質問することができます。

例えば、上司の仕事の指示をメモすると、その場でその仕事をやるにあたって、確認しておくべきことがパッと浮かびます。
これはおそらく書くことによって、いったん自分の頭から外におくことで、その物事を客観的に見られるからではないかと思います。
こういったことにより、書くことで一段上の仕事が可能になります。

【時系列で情報を管理するメリット】

1993年に出版され話題になった野口悠紀雄氏の「超整理法」を読んでから、時系列を紙やデータを保管するようになりました。

「超整理法」の本で紹介されているのは、書類の整理がメインです。
増え続ける書類をどう整理し、何を処分すべきか?というのを簡単に判断できる当時は画期的なやり方でした。
その当時は、Evernote、DropBox、Boxといったオンラインストレージは存在しない時代でしたし、まだたくさんの情報が紙でやり取りされている時代でした。

細かいことは本書に譲りますが、簡単に説明すると、A社から提案書をもらった、部下のBさんからプロジェクトのための参考資料のコピーを受け取った、C社から会社案内をもらった、自分で作成してプリントアウトしておいた資料…というように書類がどんどん増えていきます。

これらをそれぞれ封筒に入れます(使い古しでOKです)。
封筒には、簡単に中に入れた書類のタイトルと書類が発生した日の日付を入れます(例:A社 提案書 2016年3月22日)

一番左に一番最近受け取った資料、使用した資料の封筒がくるようにします。
次にまた色んな書類がやってきます。これも同じように発生した順に封筒に入れ、一番左に立てます。

例えば、既に封筒に入っているC社の会社案内に目を通す必要が出てきました。封筒から出して、目を通して確認が終わったら、今度はそれを元の位置に戻さず、一番左に置きます。
このようにしておくと、最近使った資料、最近発生した資料から、左から順に並んでいくわけです
つまり、一番右の封筒に入った資料というのは、いらない資料、使っていない資料になります。つまりこれらは保管する必要がありません。
右にある必要のない資料は封筒ごとどんどん捨てることができます。

非常に単純な考え方ですが、この整理法が素晴らしいのは、分類をしないで済むという点です。
分類というのはやってみると非常に難しいのです。

これは紙の時代でも、電子ファイルや電子メールの時代も変わりません。
勤務先のプロジェクトを行っているときに、そこに関連する様々なものが入ってしまうことはよくあります。

例えば、あるイベントに出展するというときに、イベント出展にあたり、カタログを制作したり、プロモーションサイトを作ったりします。このときに、イベント名で分類してしまうと、その後もカタログは使用するため、イベント終了後わかりにくくなってしまったりすることがあります。

また、あるお客様にシステム構築を提案していて、「B社システム構築プロジェクト」というような分類をしていると、その後にプロジェクトが発展して、包括的な業務提携をして色んなことが入ってくると、書類の数が飛躍的に増え、どういうカテゴリで分類すべきかわからなくなることも多々あります。

ようは当初想定した分類基準が、時間が経つにつれて、合わなくなってしまうことが日々の仕事ではしょっちゅう発生するのです。

ですので、そもそも分類をしない…というのが、この超整理法です。
分類しないで、時間軸のみを頼りにするというのがこのやり方です。驚くほどシンプルですが、実際にやってみるとこれが一番早くて分かりやすいです。

私は現在、電子ファイルもこのやり方で保管しています。

私のフォルダの中は、まずは月別の分類になっています。
月別の中に、各顧問先のフォルダ、コーチング関連のフォルダ、オフィスの事務処理関連のフォルダのような形で分けておきます。
さらにそのフォルダの中に細かいものが入ります。

翌月にはまた新しいフォルダ「2016年12月」というようなものを作り、12月に使用したファイル類はすべてここに入ります。
物によっては、「2016年11月」フォルダに同じものが入っていたり、更新前のファイルが入っていたりします。

このようなやり方にしておくと、あのときやったプロジェクトの資料を見返したいな…というようなときに、時期のあたりをつけてフォルダを見ると、すぐに該当資料が見つかります。
そして、ファイルの更新管理が非常に楽になります。

また、今月使っているファイルはすべて、現在の月のフォルダに入っているので、一目で探すことができます。
現在、使用していない古いファイルが入ってくることがありません。

実はこのやり方は、超整理法の本で思いついたのではなく、取引先の監査をしているときに、このやり方を取っている会社があって、アイデアを借用しました。やってみると非常に使いやすくて、ここ数年はこのやり方を使っています。

尚、古い月別フォルダは、「2014年」「2015年」といった形で年ごとのフォルダにまとめてしまい、その中に月別フォルダを入れています。こうしておくと、フォルダの中が乱雑になりません。

今回は、情報の一元管理と時系列での分類について書きました。お読みの方の中には、プロジェクトごとにノートを分けている方もいると思います。私も現在は、一部そのやり方を採用しています。
次回はそのあたりついて書いてみます。

「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)

【これまでの関連記事】

日々のマネジメントを振り返る(ミッション・ステートメント編)
日々のマネジメントを振り返る 2(仕事とPrivateの一元管理)

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