以下、2016 年に読んだ本の私のベスト5です。2016年に出版された本ではないので、そのあたりご注意ください。
どれも素晴らしくて1位から5位という順位はつけられませんでした。順不同で。
「素手時然」
小池一子、原研哉というなんともゴージャスな組み合わせの「選集」選ばれた、イメージとその文章はどれも非常に美しくて手放せない1冊。
いわゆる私にとっての永久保存版です。
この中で紹介されている本がまた読みたくなる本でとても困る本でもありました。
「エリック・ホッファー自伝―構想された真実」
昨年のベスト5に引き続き、今年もホッファーは1冊ランクイン。
年齢を重ねるたびに、彼の言葉に強く惹きつけられるようになっています。
私は真面目に答えた。「信じられないででしょうが、私の将来はあなたの将来より、ずっと安全です。あなたは農場が安全な生活を保障してくれると考えています。でも革命が起こったら、農場はなくなりますよ。一方、私は季節労働者ですから、何も心配することはありません。通貨と社会体制に何が起ころうが、種まきと取り入れは続くでしょうから、私は必要とされます。絶対的な安心が欲しいなら道楽者になって、季節労働者として生計を立てる方法を学ぶべきでしょうね」。よくできた冗談のように思え、二人とも笑った。 (P137)
「エセー〈1〉」
上記のホッファーの自伝で、モンテーニュの「エセー」にハマった話を書いていたのを読んで、読み始めた本です。決して読みやすい本ではないが、考えさせられることが多くて、毎朝少しずつ読むのがしばらくの朝の日課になりました。
昔も今も人の悩みとか意見の対立ってあまり変わらなくて、時代に合わせて道具立てが変わっているだけなんだな‥というのを実感。
この本の問題は、読み始めるとギリシャ哲学の本が読みたくなってしまうこと。そんなに間口広げると収集つかない〜・・・・と泣けてきた本でもありました。
「自分のなすべきことをして、自分自身を知れ」という偉大な教訓は、プラトンにしばしば引かれている。この教えのふたつの部分には、いずれも、われわれの義務というものがまるごと含まれているし、またどちらも、相手方に同じように包摂している。自分のなすべきことに取りかかろうとする人間は、自分が何者であって、なにが自分本来のものなのかを知ることを、最初に学ぶ必要があるのだ。そして自分を知る者は、他人のことがらと自分のことがらをとりちがえることはもはやなく、なによりも自分を愛し、自分を鍛えるのであって、余計な心配や、むだな思いやもくろみなどはしりぞけるのだ。愚かしさに望みどおりのものを与えても、それで満足することがないが、英知は、現にあるもので満足して、けっして自分に不満をいだかないのだ。エピクロスによれば、賢者とは将来のことを予想したり心配したりしないのである。 (P29)
「本格小説」
小説を読むのは、私にとって至福のひとときだけれど、近年は「これぞ!」と思うものにあまり出会えていないような気がしています。
そんな気持を抱えつつ読んだ水村美苗の「本格小説」は素晴らしかったです。
骨太な物語は、ぐいぐいと進み、読み手を濁流に飲み込んでしまうかのよう。
読後感が良いといえるタイプの物語ではないのですが、読み終えるやいなや、最初からページをめくり、丹念に織り込まれたその細部を確認したくなるそんな本でした。
「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」
哲学は私にとって、ずっと気になるテーマでポツポツ何かを読んでは、系統立ててもうちょっと学んでみたいな〜と思いつつ、でも、大学に行くのとかって、なんかちょっと違うんだよなぁ…と考えながら、今に至ります。(大学とか行くと、絶対単位修得メインになるタイプだから…、どんどんずれていくことが予想される)
それでも何冊か読んでいるうちに、自分は西洋哲学よりも、東洋哲学のほうが好きなようであることもわかってきて、以前から妙に評判の良く気になっていたこの本、でも表紙がちょっと、そしてペンネーム微妙よね…という「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」を読んだら、これがもう私にとってのスゴ本でした。
これまでもんやりしていたものが、すごく腹落ちで勢いがついた。ということで、今はポツポツ「荘子」などを読んでいます。
この本をガイドに東洋哲学の本を一通り読んでいきたいな…という野望が…。
2016年に読んだ本のトータルは、おそらく135冊程度です。
昨年に比較すると少し落ちていますが、ほとんど変わっていないようです。
本の購入金額トータルは21万ちょっとですので、昨年より1万ぐらい増えてしまっています。
図書館もかなり活用しているのですが、なかなか減らないものだなぁ…と思います。
今年のブックオフはいつもより随分前倒しで、10月上旬に70冊を出して、6000円となりました。
例年、100冊超えであることを考えると、今年はかなり少ないですね。昨年は134冊出した記録が残っています。
2016年は全体に「当たり」の本にあまり逢えなかったのですが、ジャンル的には結構色々と読みました。
それから、朝一番でゆっくりお茶を飲みながら、「背伸び読書」(←私にはややレベルの高いと思われる本を頑張って読むという意味で、この言葉を使っています)をするというのが習慣化されてきました。
これは一日の満足度を上げるのにとても役立っています。
2017年については、積読をなんとか片付けるのと(これは、昨年と同じ目標ですね…)、それから洋書を読むことを日々の習慣に組み込みたいな‥というのがあります。これまた、かなり私にとっては野望な感じです。
新聞購読にこれまでの日経新聞にプラスして、日軽産業新聞の購読を始めたのが、結構読書時間の捻出に影響を与えそうです。このあたりは、ネット接続の時間を減らして、なるべく減らさないようにするのが王道でしょうね。
以前のBest5はこちらです:
2015年:読んだ本 ベスト5
2014年:読んだ本 ベスト5
2013年:読んだ本 ベスト5
2010年:読んだ本 ベスト5
2009年:読んだ本 ベスト5
2008年:読んだ本 フィクション ベスト10 及び ノンフィクション ベスト5
日々の読書記録はこちらです:
MediaMarker yoshikooのバインダー
コメント