「仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版」

大半の人がそうだと思うのですが、私も仕事に追われるのがほとほと嫌いです。
いや、仕事に限らず、家事やらプライベートのあらゆる約束事その他何でも、とにかく追われるのが嫌いなのです。

あなたには、やることがたくさんあって、何かをしている時に、取りかかっていないタスクが気掛かりで、どうも集中できないということはありませんか?
「今、これやってていいのかな?優先順位とか段取り考えるとこれじゃないような…」と不安になったり、じゃぁ、じっくりと…と、優先順位と段取りを考えていると、じゃかじゃか次の仕事がメールや電話でやってきて、その間にまた優先順位が狂い出す…。

もしもあなたがそんな状況だったら、この本は一読の価値があると思うのです。

あれ?そんな話、この間、別の記事に書いていませんでしたっけ?
と思ったあなたは、このサイトのかなり熱心な読者の方ですね。ありがとうございます。

そうです。
それは、「日々のマネジメントを振り返る 6 GettingThings Doneとは? -1-」で書いてあることとかぶっています。

日々のマネジメントを振り返る 6 (GettingThings Doneとは? -1-)

ではなぜ、そちらを差し置き、この「マニャーナの法則」を紹介するかというと、Getting Things Done(以下、GTD)は、身につけるのが非常に大変なのと、書籍も結構読み難いものが多いため。
(注:そうは言ってもその分GTDには、非常に深いものがあるので、仕事でもプライベートでもどんな場面でも応用が効きます。)

一方で、このマニャーナの法則の本は、仕事に特化しており、試しやすく、結果も出やすいという特徴があります。
取り急ぎ何とか仕事に追われる状況から脱出したいという方にお薦めなのがこの本。しかも、こちらの本は文章もかなり読みやすい…。

ということで、こちらの本も毎日の仕事が忙しいあなたのために紹介したいのです。

それでは、早速…。

まず脳には、”理性の脳”と”衝動の脳”という2つがあります。
衝動の脳が私たちの仕事における重要だが面倒くさい仕事を「先送り」にしてしまうことが多く、これが厄介な問題を引き起こします。

この衝動の脳が、私たちが仕事を成し遂げるに必要な集中力をあちこちに分断させるのです。
仕事の成功はいかに、「充分な集中力を継続できるか」です。
(仕事で成功するためには、集中がとても大事であることは、「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」でもご紹介していますので、ご興味ある方はそちらもご一読ください)

大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法

そして、この集中力を奪うものの中でも大きいのが、抵抗感からくる「先送り」なわけです。
抵抗感というのは、「ある行動がその他の行動より難しい」と感じた時に生まれます。
ですから、どうでもよい仕事していれば抵抗感は起こりません。
だからこそ、私たちは簡単ですぐ終わる仕事ばかり手をつけてしまい、なかなか終わらない難しい仕事を先送りにしがちになるのです。そして、なかなか終わらない難しい仕事こそが、重要度が高いということが多いのです。

誰もが経験していることですが、抵抗感から先送りをしてしまうと、その仕事に取り掛かるのは、ますますイヤになり、逃げたい欲求が更に高まります。この本では、「逃げれば逃げるほど抵抗感は大きくなる」と言っていますが、まさにその通り。

ただ、逆もまたそのとおりで、一度その抵抗感を克服して厄介で且つ重要な仕事に取りかかれば、今度は仕事を中断することに抵抗感が出てきます。自分の脳のこういうところをうまく使って、自分なりのうまくいくシステムを作っていこうよ!というのがこの「マニャーナの法則」で紹介している内容です。

では、どんなシステムならうまく機能するのでしょうか?

常に機能する優れたシステムに必要な3要件

「集中力を継続して発揮できる」
「抵抗感を克服する方法が入っている」
「どんな場合にも対応できる」

世の中には、山ほど時間管理や仕事を迅速に片付ける方法の本が存在します。
実際にこの手の本は読むと、自分では思いつかなかった役に立つ有効な小技が書かれていたりして、何かしらの日々のタスク処理に役立つことが多いです。
しかし、どんどん片付けてもどんどん引き受けていては、当たり前ですが仕事は一生終わりません。
毎日終了時に、あなたのTo-Doリストには、こなしきれない仕事がまだいっぱい載っており、あなたはそれを見てため息をつきます。明日も明後日もそうです。

もうこんな毎日はうんざりであれば、あなたは仕事のやり方を変える必要があります。

1日分の仕事を その日のうちに終えたい場合は、以下の3つの方法のみです。

方法1 仕事の効率を上げる
方法2 仕事を抱えすぎない
方法3 仕事をする時間を増やす

このうち一番重要なのは、「方法2 仕事を抱えすぎない」です。

先程申し上げたような「時間管理や仕事を迅速に片付ける方法の本」というのは、大体が「仕事の効率を上げる」or 「仕事をする時間を増やす」がテーマになっていますが、この本は、「仕事を抱えすぎないためにどうするべきか?」にかなりフォーカスがあてられている本なのです。

「本当の仕事」とは、目標に近づくための仕事です。そのためには、あなたの能力すべてを使わなければなりません。つらい困難にぶつかることもあるし、そのせいで「忙しいだけの仕事」の方が仕事らしく見えるのです。あちこち飛び回って、慌ただしくしている人のほうが、静かに座って計画を練る人より忙しそうに見えませんか?
あなたの上司や同僚はもちろん、あなた自身も自分に対してそんな誤解をしがちです。しかし、はっきり言ってしまえば「忙しいだけの仕事」は「本当の仕事」をしない口実に過ぎません。

さまざまな時間管理の本では、よく優先順位をつけてその順序に沿って、仕事を進めることが推奨されていますが、マニャーナの法則では、そもそも一日で終る分だけの仕事を引きけることが大事であると繰り返し述べられています。

その日の仕事が必ず完了できるなら、優先順位はどうでも良いですよね?
優先順位付けにこだわるのは、終わらない仕事が発生する前提なんです。だから重要な仕事を優先しなくてやらなくてはならないんです。
そう考えると、その日のやるべき仕事がその日に終わるなら、優先順位付けに頭を使う必要はありません。

でも、それにはどうすればそんなことができるのでしょうか?

タイトルに使われている「マニャーナ」とはスペイン語で「明日」という意味。
「明日やる」を基本にすることで、仕事を完全に終わらせる画期的な方法を説明しているのがこの本なのです。

緊急対応は基本的にしない。今日入ってきた仕事の対応は基本明日対応と決めて仕事を片付けます。

そのためには仕事が常に整理されていることも重要ですし、やると決めたものは必ずその日にやらなくてはなりません。
その具体的な方法が、ここにはたくさん出ています。
ダッシュ法、タスクダイアリー、クローズドリスト、プロジェクト化、抵抗感を抑えて仕事に取り掛かるための方法などなど。

このうちのいくつかは聞いたり読んだりしたことがあるでしょうし、中にはすでに実行されているものもあると思います。
私自身もいくつかはすでに取り入れていました。

マニャーナの法則を実践すると仕事をむやみに引き受けないため、Noを言う場面が出てきます。
Noを言うのが苦手な人のために、上手にNoを伝えるヒントなども説明されています。

私自身がこの本を読んで取り入れた中で、非常に効果が大きかったのは、メールの返信を基本は全て翌朝にするようにしたことです。
GTDでは2分以内に済むものは、その場で片付けちゃおう!というルールがあるのですが、このやり方ですぐにメールの返信をすると、メールのキャッチボールが長引くこともあるため、逆にメールに関してはこちらのほうが生産性が上がります。
腹が立つようなメールが届いても、翌朝になると冷静に返信が書けるもので、時間のバッファを取ることにより、よりよいメールが素早く書けるようになった気がします。

急ぎのメールに関しては、基本電話で片付けるほうが早いです。
メールでないとややこしいというようなものは、尚更、翌朝頭のスッキリしている時に書いたほうが良いようです。
朝に集中してメールを片付けるようになったことで、メールに割く時間は激減しました。途中の他のメンバーのやり取りがある程度を終わってか、全体を読んでから書くことが増えたせいだと思います。

ここで注意したほうがいいかも…と、思うようなものは以前は即座に入って、指示を出したりフォローしたりしていましたが、スタッフの成長を促すには少し様子を見てからでもいいことがわかってきました。
もちろん、大きく問題になりそうな場合は、その場で入りますが、そうしょっちゅう大きな問題は起こらないものです。
もしも、大きな問題がしょっちゅう起こるような職場であれば、それは抜本的に色んなことを見直す必要があるということです。

仕事をしていて、一番がやる気が出るときは、予定通りに仕事が進んでいると実感する時であると、この本にも書かれていますが、まさにそのとおりだと思います。
あなたの今の仕事のシステム(やり方)がうまくいっているかをチェックするには、以下のポイントを確認してみてください。

もし、このすべてにチェックが入れば、あなたのシステムは上手く回っています。
もしも、チェックが入らなければ、ぜひこの本を参考に、システム改善にチャレンジを。

□ 仕事に制限が設定されている
□ 集中力を散漫にしていない
□ 一事に集中している
□ 1日にできる仕事量を把握している
□ 毎日、1日分の仕事を終わらせている

1日の起きている時間の半分ぐらい(人によってはもっと)、仕事をしているわけですから、仕事は楽しく充実してやりたいものですね。

仕事を”片付ける”というのは、細かい日常業務に取り組むことです。クライアントへの対応、製品の製作、会計処理、従業員への対応などがそれに当たるでしょう。別の言葉で言えば、仕事に必要な”業務を処理すること”です。
一方で、仕事に”向き合う”というのは、仕事について考えることです。仕事の目的・意味を考える、構想を練る、目標を設定する、新しい企画を考える、計画を立案する、といったことが含まれます。

人間には「嫌な仕事」「本当の仕事」を避ける口実として、「忙しいだけの仕事」に手をつける傾向があります。最初から「抵抗のある仕事」に取りかかってしまえば「忙しいだけの仕事」は不要。つまり「忙しいだけの仕事」は自然に消滅してしまうのです。

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