文春新書から真っ赤な装丁+大きな著者の写真。
くっきりとした印象の残る装丁である。
そして、内容も勝間節全開という感じで、賛否両論のはっきり分かれる本ではないかと思う。
カツマー(勝間和代さんのファン)には、「待ってました!」と膝を打ちたくなるような本だと思うし、反勝間派には思い切り苦い顔をさせる本である。
とにかくものすごいエネルギーに溢れている本である。
この「断る力」は「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 022)」の続編にあたる本ということらしい。私は旧版の「インディでいこう!」を読んでいるが、その中で著者は、
1 年収600万円以上を稼ぎ
2 いいパートナーがいて、
3 年をとるほど、すてきになっていく
「精神的にも経済的にも周りに依存しない生き方」を提唱し、具体的なノウハウを読者にお伝えしている。
今回の「断る力」はまず、このインディな生き方が既にできている、あるいは近いところまできている読者が読むには、かなり効果があり励まされるものも多いと思うのだが、これからインディを目指しますー・・・・という人が読んでしまうと、その強い口調にちょっとへこんでしまうかもしれない。
(インディになるまでに大体の人は、少しは「断る力」を使っているのではないかと思われるから)
とは言え、勝間さんの提唱する「断る力」が大切であるというのは、私も日々感じていることで、基本ラインとしては近い考え方を持ち、日々あれこれ断り続けている。
でも、これを人に教えるのは、実際かなり厳しいのではないかと思う。
なぜなら「断る力」というのは、結構劇薬なので、用い方が難しいのである。
もちろん、この本の中でもその劇薬取り扱いの注意については、丁寧に書かれているのだが、いかんせんこの本、勝間さんのエネルギー全開、書き下ろし?というような本なので、このエネルギーに触発されて、とんでもないところで「断らなくっちゃ!」と思うような人が出てくるのではないかとやや心配である。
私が特に共感したのは「交渉力はクセである」という点である。
私もアメリカ人と仕事をするようになって、なんでもかんでも交渉する彼らといるうちに「駄目でももともととりあえず聞いてみよう」というスタイルがすっかり身についた。
そして、これは実際にやってみるとうまくいくことが多々あって、労力少なく得るもの多い・・・・と感じている。
しかし、「交渉力をつける」ことは、実際には大して高度なことではなく、せいぜい
「思考のクセ(習慣)」
くらいに思っていた方がいいのです。
このクセをつけるのに必要なことはたった一つです。親兄弟や友人であっても、相手が出してきた要求や条件に対して、何でも即座に「ハイ」と返答するのではなく、まずはいったん「よりよい方法はないか」
と一歩進んで考えるクセをつける、これだけです。
それから、嫌われるリスクについての話も面白かった。これだけ有名だと、見ず知らずの人から嫌われることも多々あるそうだが、そこにどんな風に対応するのか、または対応せずに放置するのか、なんていうのはこの著者ならでは!という感じでした。
ちなみに私は、幼少の頃から「顔が生意気である」「なんだか感じが悪い」という第一印象を持たれることが多く、まず最初の前提として、人から嫌われやすい・・・というものがあるので、おかげで
・嫌われることが気にならない。
(そして別に相手のことをこちらが嫌いになることはない。ただの誤解だろうと気にしない)
・好きな人には自分から仲良くする
・・・ということを素でやっているため、そのあたりの「断り力」というのは、かなり高いと自負しています。そりゃぁ、もとから嫌われているなら、断るのもやり易いってもんですよ。
全体に話題作りの上手な本だなーという印象です。
軽く読むことも、重く受け止めることもできる面白い本でした。
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