昨年の暮れ、恵比寿の書店で出会った「原研哉のデザイン」という本。
そこから私の中で「デザイン」という言葉が非常に気になる言葉となり、現在に至る。
それ以来、グラフィックデザイナーの原研哉氏の本をゆっくりゆっくりと味わうように読むようになり、大きな書店に行けば、ビジネス書のコーナーより先に、デザイン本のコーナーを探すようになった。
何がそんなに気になるのか?
まだ自分の中できちんと消化できているわけではないし、固まってもいないのだけれど、デザインというのは、「コミュニケーション」である・・・という点に私が気がついたからではないか・・・と感じている。
そしてこのデザインという名の、私にとって新しいスタイルの「コミュニケーション」というのは、きっと私のコーチングや仕事に大きな転機となる視点を与えてくれるのではないかと何となく感じているのだ。
今回読んだ本は、そんな私の疑問をそのままぶつけたようなタイトル「なぜデザインなのか。」
この本は原研哉氏とアーキテクトデザイナーでベルリンで活躍している阿部雅代氏の対談で構成されている。
デザインを仕事にする人たちはこういう風に言葉を使って、コミュニケーションするのか、・・・とハッとする部分が多い。
普段の自分の日常とは全く違う視点からの話を読むことで、自分の視点の位置までもが突然ぐいっと動かされるような不思議な感覚が湧き起こる。
原:「大丈夫、わかっていますよ」と言って。お互いに「ああその通り」と自然に思うような仕組みがあると思います。「よろしく」って言うだけ、広告とはそういうものだと思っています。エルメスにしてもプラダにしても、和菓子のとらやにしても、よく知られたブランドの広告は余計なことは何も言わないでしょう。(中略)
いかに最良の「アイコンタクト」をするか。だから相手の言葉やイメージや共感をすっと受け入れられる。受容力のある「器」というか、そういうものをいかに差し出すかにかかっているんです。
阿部: なんとなく気になるものを、いつも目につくところに置いておくと、無意識の中でそれが消化されて、自分のデザインにいい影響として出てくる。これはもう、勘を形にするプロセスみたいなもの。
阿部: 普通に売っているのは、白か透明のものが多いです。色鉛筆にも「はだいろ」がない。
原: ブルーのバンドエイドを見て「あ、これはデザインだ」と思ったんです。ブルーにするという配慮に、感覚の平和が動いている。しかしいいデザインかどうかはわからない。たしかに問題はとらえていて、ひとつの答えを出しているけど、派手なブルーだと解決されきっていない感じがやっぱりあって(笑)。でもその姿勢には僕はすごく共感できる。ブルーのバンドエイドみたいなデザインは、たぶんいっぱいありますよね。
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