第12回のサードプレイスを2021年6月にオンラインで開催しました.
課題本は、「ブルシット・ジョブ ~クソどうでもいい仕事の理論~ 」.
今回は全部で8名での会となり、その内初参加者の方は3名でした。
ブレイクアウトルーム2部屋に分かれて、本について、仕事というのものについて、働き方について色んなお話がでてきました。
Contents
【参加者の読了率は?】
毎度おなじみの質問、今回の読了率です。
全部読んだという方はほとんどおらず、「途中まで読んだ」、「あとがきだけ読んだ」「関連動画をYoutubeで観た」「Audibleで聞いた」と何らかの形では本に触れてきたという方が多かったです。
深くも浅くも読める本だと思いますが、いろんな仕事についている人のインタビューが多かったり、前章までの用語や言い回しを抑えておかないと後ろで混乱することがあったりするので、一気に読まないと、「この人誰だっけ?」「これなんだっけ?」となることが多い本です。
そういう意味ではAudibleで一気に全体像を知ったり、あとがきや関連動画などでイメージを掴んでから読むのは、賢いやり方のように思います。
読書会ではたくさんのトピックが出てきて盛り上がりましたが、中でも印象に残ったものを以下に取り上げていきます。
【ブルシットジョブとは?】
上記がこの本の中に書かれている「ブルシットジョブ」の定義なのですが、どうも話しているうちに定義からズレていってしまうことが多いようです。
特に目立つのは、私達は自分の仕事よりも他人の仕事を見て、ブルシットだと言いたがる傾向があるようです(笑)
ただ、この本の定義では「本人が」無意味だと思っているというのも大事な部分で、本人が自分の仕事は素晴らしく意義がある‥と思っている場合は、傍から見て、無意味だったり、場合によっては社会やその組織にとっても有害だったりしても、ブルシットジョブにはあたらないのです。
皆さんの中でも、しょうもないことばかりする政治家とか余計なことばかり言うコメンテーターとか色んな人の顔が思い浮かぶかもしれませんが、彼ら彼女らはそれが必要なことだと思っているのであれば、それはこの本の定義でいうところの「ブルシットジョブ」にはなりません。
【ブルシットタスク?ジョブ?】
全体からするとブルシットジョブではないのだが、一部ブルシットなタスクというものがある。
というご意見には多数の参加者が賛同されていました。
以下は典型的なブルシットジョブとして、この本の中で挙げられているものです。
ブルシットジョブの5類型
取り巻き:
誰かを偉そうにみせたり、偉そうな気分を味わわせたりするためだけに存在している仕事。例えば、受付係、管理アシスタント、ドアアテンダント。脅し屋:
雇用主のために他人を脅したり欺いたりする要素を持ち、そのことに意味が感じられない仕事。ロビイスト、顧問弁護士、テレマーケティング業者、広報スペシャリストなど、雇用主に代わって他人を傷つけたり欺いたりするために行動する悪党。尻ぬぐい:
組織のなかの存在してはならない欠陥を取り繕うためだけに存在している仕事。たとえば、粗雑なコードを修復するプログラマー、バッグが到着しない乗客を落ち着かせる航空会社のデスクスタッフ。書類穴埋め人:
組織が実際にはやっていないことを、やっていると主張するために存在している仕事。たとえば、調査管理者、社内の雑誌ジャーナリスト、企業コンプライアンス担当者など。役に立たないときに何か便利なことが行われているように見せる。タスクマスター:
他人に仕事を割り当てるためだけに存在し、ブルシット・ジョブを作り出す仕事。中間管理職など。
このように見てみると、自分の仕事すべてがそうではないけれど、時折自分はここで挙げられている「書類穴埋め人」の仕事をしたり、「タスクマスター」の役割になったりというのは、わりとあることではないでしょうか?
ただし、仕事の全部がブルシットなわけではない‥。
【善意から生まれることもあるブルシットタスク】
お話の中で、「会議をなくすための会議」の座長を務めたという方がいらしたのですが、こういったことは本来の目的としては、無駄な会議を減らすことであり、決して悪いことではなかったはずなのに、気がつけば「会議をなくすための会議」が多すぎて忙しくなったとブルシットタスクになってしまうことが多々あります。
その他に、傾いた企業の立て直しを行い業績が回復したら、傾いている間は一丸となって協力しあっていた創業者一家がホッとしたのか、権力争いを始めその仲介をする仕事が生まれた‥など、もともとは良い目的のために行ったことが、気がつけばブルシットタスクが生まれる土台となってしまった‥という話など、皆さんの体験を共有していただきました。
ブルシットタスクが生まれるのは、善意からということも多々あるかも…という仮説や、そういえば「地獄への道は善意で舗装されている」という諺(ことわざ)もあるね、‥なんて意見も出て、なんだかブルシットジョブやタスクが生まれるのは、人間が人間だからこそかも‥という話もでてきました。
【ブルシット産業】
また、必要のないゴミばかり作って環境破壊に貢献しているようなブルシット産業みたいなのもあるね‥という話がでていました。
こちらもやっている人たちは、必要不可欠な仕事だと思っていやっていることがほとんどでしょうから、上述したブルシットジョブの定義から外れてしまうのですが、ここから話が広がり、そもそも通貨を媒介にした世の中をそろそろ見直しても良いのでは?、資本主義ではなく、コミュニティでそれぞれの役割を果たしてというような暮らしの仕方もありでは‥と壮大なテーマも出てきました。
著者のデヴィット・クレーバー自体、そもそも資本主義を肯定している人では無いですから、こういう着眼点も本から外れ過ぎているとも言えなそうです。
【どんな仕事がしたい?】
あれこれ話していくうちに、では、もちろんブルシットジョブな仕事は嫌だけれど、じゃぁ好きに選べるとしたらどんな仕事したい?
自身の経済環境を無視して、何でも選べるとして、さらに若返りもありだとして‥(今の知恵と経験は持ったまま若返れますという想定)という質問に対して、
先ほどあがったコミュニティ的な世界で生きていきたい、というご意見や、そもそもそれだったら日本で働かないかも‥とか、あれこれありましたが、一番すごかったのは、幕末の日本に行って世直しをする‥というご意見でした。そこから日本の方向性は間違ってしまった‥というので、そこから修正しないと…!と質問者としても想定外の回答が…。
こういった面白さも読書会ならでは‥です。
【今回の感想】
・ 読まなくても楽しく参加できたけれど、読んだほうが良かったな〜
・ 読書会は初めて。とてもおもしろかった。自分とは違った視点がよかった。
・ 読まないで参加したので、もうちょっと本を深堀りしたい。話を聞いていて、自分の仕事をネガティブに捉えすぎていたかもと感じた。
・ 有益なことをしたいすべての人向けの本。豊かさは自分自身が作り出すもの。仕事の属性の問題ではない、価値付、意味づけ、海正した価値、自作自演こそが人生だとわかっていれば、ブルシットジョブに囲まれることはないのでは?
おまけ
【読書会のなかで言及されたその他の本について】
【よその読書会でのブルシットジョブ】
今回の読書会の前に、私は「ブルシットジョブ」を取り上げたよその読書会に参加しており、そちらの話をちらっとだけ以下の記事に取り上げています。ご興味がある方はこちらをどうぞ
【次回のサードプレイス読書会】
第13回サードプレイス・オンライン読書会は「天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」を取り上げます。
本を読むのが好きな人、本を読みたいと思っている人、今回の課題本に関心のある人、いろんな方のご参加をお待ちしています。
場所 zoom(オンライン形式の読書会です。オンラインでの参加方法は後述)
日時 2021年9月11日(土)
10:00-12:00 (9:45より オンラインで入室することが可能です)
会費 無料
募集人数 15名
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