Week34thはあまり記録することがなかったのと、仕事が忙しくて書く時間が取りにくかったので、1週飛ばしてWeek35thを書くことにします。
突然涼しくなり、過ごしやすくなったことから仕事も順調に片付いたのですが、身体が季節の変化に追いつかず週末は風邪で発熱。と言っても、すぐに休める状態でしたので、ひたすら眠って薬をのまずに回復。
休めば治るのが風邪なんですが、忙しいとパパっと休めないから長引くんですよね。
Contents
校閲を学ぶ
今年の頭に、ある企業の社史編さんの仕事が回ってきて、ひたすら校正と校閲をやりました。
なんで経験もない私にそんな依頼が‥というとトップの一声。
「うちの社内の人間はどうもあてにならないので、yoshikooならよく本を読んでいるし、ある程度社内も知っているからチェックしてくれ‥」という乱暴なものでした。
(わりと私のところにくる仕事ってこういうケースが多いんです。)
社史というのは、創業XX周年などに記念して作られることが多いですから、社内報などの紙ものを普段から作っている企業などでないと、そもそも担当者がいなかったりします。社史の編集から印刷までを専門でやっているプロダクションにお願いしたのですが、プロダクションと社内の調整役を兼ねて‥みたいな立ち位置でお仕事をさせていただきました。
その後、3月、4月と立て続けになぜか紙ものの校閲やら校正やらの仕事がやってきて、一つは創業者の自費出版の本、もう一つはこれまでの仕事のノウハウを詰め込んだ本を友人が出版するというものでした。
30代の頃に、仕事で翻訳されたトレーニングテキスト、E-Learning、資格試験の問題、その他プレゼン資料の監訳やリライト的なことをやってきたので、全体の構成がきちんとしているものであれば、さほど時間も労力もかからないのですが、今回は編集者の手に渡る前の著者の初稿への校正/校閲でしたので、全体の目次・構成も見る必要があり、なかなか大変でした。
編集者の手の入っていない本を読むってこんなにキツイのね‥と初めて知りました。
オンライセンミナー流行りのコロナ禍では、パネルディスカッションや対談も視聴する機会が多々ありますが、リアルをそのまま文字で再現されたら読めたものではないと感じています。編集されている対談集だからこそ、読み物として成立することがよくわかります。
本を読むのが好きなどと言うの、は全く別物というのがよくわかりました。
著者の方が、後書きや前書きに編集の方へのお礼を書いているのをよく見かける理由がよくわかりました。編集者ってすごい…。
それらの仕事が終わってみて、これもっと手際よくできたんじゃないかな?という疑問も残っていたところ、ちょくちょく受講している新潮講座で校閲オンライン講座というのを発見し、面白そうだったので、受講してみました。
事前に宿題が出て、手書きの原稿を流し込んだものを校正・校閲し、さらに作者のプロフィールの校正・校閲もありました。
校正記号なんかは大体知っていたのですが、どこまで調べるべきか、文章そのものに手直しが必要そうなところは、どうそれを著者に書いて伝えるかなどは知らないことが多く勉強になりました。
また、新潮社だと文字組みやレイアウトなども校正・校閲担当者のチェック範囲に入るようで、その仕事の膨大さに驚かされました。
その他に、作者のプロフィールは、著作をいくつか並べるときに出版順に並べるとなると、文庫はまた出版順序が別だったりとか、直木賞受賞、山本周五郎賞受賞などいくかあったときに「第X回XXX賞受賞」とその回まで入れる入れないを統一するとか、なるほどねぇ‥と思うところがたくさんありました。
連続2回の講座で、次回は9月半ば今から後半の授業が楽しみです。
アネロチェア
我が家は冬はこたつになるテーブル、ようはちゃぶ台のようなもので日々の食事をしています。
いざとなれば、折り畳めて収納などが便利ですが、座布団に座っている時間が長いと腰への負担が気になるようになってきました。
リビングでも本が読みたい私とスマホを触り倒したい夫、二人の要望を叶えるために、近所の家具屋さんにソファを見にいったところ、そこに置いてあったアネロチェアというものに一目惚れしてしまい、ソファの予定が椅子に変わってしまいました。
私は、子供の頃から一度もソファのある家に住んだことがなくて、これが最後のチャンスだったかもしれないのに‥と思わなくもないのですが、椅子なので表面面積が少なく、そのため圧迫感もないので、我が家の広さ(狭さ?)だとこのぐらいで良かったのかな‥とも思います。
おかげで仕事部屋以外の読書も快適になりました。
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本
「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」
今、ノリにのっている‥ブレイディみかこさんの本。
いつもの本だと現場からご自身が見た身近なイギリスの社会課題について綴る‥という形の本が多いのですが、こちらはそういった個人的な話は少なく、エンパシーというもの参考文献をかなり読み込んだ上で考え抜き論じています。そして、そのため、今までのノリで手を出すときつく感じるかもしれません。
読書会でも取り上げた「ブルシット・ジョブ」とその作者ディビッド・クレーバーの話も多々出てきます。
通読しましたが、もう一度じっくり読み返す予定の本です。参考文献にも読みたいものが多かったので、そちらもリスト化して読んでいこうという野望を抱いています。
「フリーズする脳 思考が止まる、言葉に詰まる 」
同じ著者の方の別の本を読んだ記憶があり、たまたまKindleの日替わりセールで、とってもお安く出ていたのでついポチッとしてしまいました。
高次脳機能外来でお医者様をされている著者による脳の話です。脳がボケてくるのは、実は環境によるものが第一の原因で、年齢はその後だというのにまず驚かされました。
私も年々、とにかく固有名詞が出てこなくて「あれ」「これ」など指示代名詞ばかり‥という会話が増えてきました。家族としか話さないとなんとなく通じてしまうんですよ、これが。
で、そのままきっちり思い出さないで、「ま、いいか‥大したこじゃないし‥」となるのですが、これがとっても脳には良くないそうなので、これを読んでから思い出すまでこだわるようになりました。
年齢のせいにして放置していましたが、意識して思い出すようにすると、指示代名詞を使うことが少なくなりました。
今は自分の頭で憶えておかなくても、すぐにネットで調べることができるため、若い人も脳がボケてくることが多くなっていたり、環境に変化が少ないところにいると脳がどんどんラクをしてしまって、回転数が落ちたりとあれこれあるようです。
とっても実用的且つ読みやすい本でした。
「効率的に効率的に」と考えていくと、究極的にはそのことだけをやっていればいいという風になっていきますが、脳はそういうものではありません。本人がまったく無駄なように思っている日々の雑多な活動の中には、じつは本書で解説してきたようなさまざまな脳機能を訓練させる機会が含まれていて、それをなくしてしまったら、より高度な能力も消えてしまうのかも知れない
築山 節. フリーズする脳 思考が止まる、言葉に詰まる (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1459-1463). Kindle 版.
目を動かして情報を取る、長い文章を理解しながら読む、短期記憶を使う、手を動かして斜めの線を引く、緊張する相手と話す、全身をバランスよく動かすという要素があります。こういったことを続けるだけでも脳機能は維持できる。逆に言えば、若いのにボケていってしまう人たち、フリーズする脳の状態になっている多くの現代人は、その程度のことすらしなくなっている場合が多いのです
築山 節. フリーズする脳 思考が止まる、言葉に詰まる (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1850-1853). Kindle 版.
「正直不動産 12巻」
今回も不動産の知識があれこれわかりやすく学べて面白いです。
賃貸保証会社って、今は賃貸物件借りるとき普通ですけど、ちょっと前までは保証人いない人だけだったよなぁ‥と私も思っていました。
このあたりも大家さんにどういうメリットがあるのかがわかり、なるほどね‥と理解できました。
読んでいると不動産業界楽しそう‥と思っちゃいます。IT化もまだまだこれからだし、業者側と一般の人たちの情報の非対称性もすごくて、色んなビジネスチャンスがあるような気がします。
「古くてあたらしい仕事」
33歳で夏葉社という1人出版社を立ち上げた島田 潤一郎さん。
出版社を1人で始めるまでの経緯や、夏葉者ができるまで、そして立ち上げ後の最初の数年の体験をまとめたものです。
新聞書評で何度か見かけて読んでみたいと思っていたのですが、ようやくご縁があって読むことができました。
私の、2021年下半期のベスト5に間違いなく入る本です。
ぼくは本屋さんのある町に住みたいし、古本屋さんのある町に住みたいし、喫茶店のある町に住みたい。
できれば、そこには小さな映画館もあってほしいし、チャーハンが六〇〇円くらいで食べられる中華料理屋さんもあってほしいし、チェーン店のコーヒー屋さんもあってほしい。コーヒー一杯に五〇〇円を出せるほどお金の余裕がないとき、二二〇円のコーヒーは僕の生活を助けてくれる。
そうしたひとりひとりの希望が町をつくるのだとすればできることはたくさんある。応援しているお店でお金を払い、取り寄せられるものはその店にお願いして、商品が到着するのをのんびりと待つ。「古くてあたらしい仕事」P193
「ミカンの味」
「82年生まれ、キム・ジヨン」で話題となった、チョ・ナムジュさんの作品。
今回は高校受験を控えた女子4人の物語。
憂鬱な家の事情みたいなものは、誰にも知られたくないと思う気持ちと、誰かに早く知ってもらいたいと思う気持ちが、ダユンの中で入り混じっていた。同情されるのは嫌だが、慰めてもらいたい気持ちは切実だった。
「ミカンの味」 P218
韓国の受験戦争といえば、日本よりもずっと熾烈で、結果を儚んで自殺者が出るほどだというのをよく聞きます。そのあたりの熾烈さがリアルに見えてくる内容でした。
数年前に友人と二人で何度か遊びに行った韓国は、私にとっては親切で世話好きなオモニがいて、食事も美味しいものばかりの明るい国。現地でもまた日本でお付き合いのある韓国人の方たちにも一つも悪い印象がないためか、日本と韓国の仲が良くないというニュースを見聞きするたびに、単なるボタンの掛け違えではないか‥と感じます。
このところ、何冊か韓国の本を読んでいると、とにかく日本とよく似た国民性なんだな‥と感じます。ボタンの掛け違いではなく、同族嫌悪なのかな‥。
抜きん出る人に対してあたりが強い。抜きん出る人がいるぐらいなら、みんなで低いところにとどまるのが平等‥みたいな感じ。
あとは何とも言えない将来に対する閉塞感というか、明るい希望を若い人もその親も抱いていないという印象。でも、隣の人よりはちょっとマシでいたい‥というような野心とはいわない、小さな自己肯定感を欲するところなどでしょうか。この本を読んで、そんなところが似ているように感じるのです。
私は、この小説を読みながらずっと著者の立ち位置よく見えない‥という不安を感じていました。
ストーリーがフラフラしているとか、信念がないとかそういった意味ではなく、著者が登場人物とストーリーを動かしているように見えない。
うまく言語化できないのですが、ただひたすらフィルムを回し撮影している人がどこかにいるように感じられて、そのカメラはなんだか読んでいるこちらにも向けられているような。
うまく説明できないのですが、物語を読みながら、あれこれどこからこの物語が聞こえてくるんだろう…でも、これ私に聞かせているための声だよね、みたいな。
全体に明るくないんだけど、読後感が悪いともいい難い。なんだかまた他の作品も読みたくなる、私にとっては癖になる作家です。
同じ著者の「82年生まれ、キム・ジヨン」については、以下に取り上げています。
「「仕事ができる」とはどういうことか? 」
日本人の書いたビジネス書をあまり読まなくなってだいぶ経ちます。そんな中で、楠木建氏と山口周氏の本については、それなりにタイムリーに読んでいます。
ビジネス書として「良いか悪いか」‥というよりも楠木氏ので言うところの「好き・嫌い」の話で単純に「好き」だからです。
この本では楠木氏が「センス」という言葉で表現し、山口氏が「アート」と評するもの、同じことを違う言葉で表現しています。どちらも言語化しにくく、系統的に学ぶという形で身につけることがしにくいという意味で、「スキル」とは方向性がかなり違います。
AIの世界では、「スキル」じゃなくてこういったものが必要というのがこの本の主旨ですが、その周囲にお二人の体験などが散りばめられていてこれがまたバツグに面白い、対談ということもあって、非常に読みやすい本に仕上がっています。
「セクシー田中さん 4巻」
タイトルもややふざけた感じですが、中身もギャグ漫画的要素の多い漫画です…が、その一方で少女漫画のキュンキュンもちゃんと含まれていて、こりゃ人気になるのもわかるわー‥という作品です。
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