第13回読書会(サードプレイス)開催報告「天才たちの日課」編

第13回のサードプレイスを2021年6月にオンラインで開催しました.
課題本は、「天才たちの日課」。

今回は全部で8名での会となり、その内、初参加者の方は1名でした。
ブレイクアウトルームで2部屋に分かれて、今回も本の内容から、そこから派生した様々なことまで、たくさんのお話を聞くことができました。

受付開始:サードプレイス #13 課題本「天才たちの日課 」

「この本の読み方」

サードプレイスでは、本を全て読めていない人でも参加可能という運営を行っています。そのため、毎回自己紹介のところで、どのぐらい本を読んできたか‥というのを確認してから話を進めていきます。

さすがに全く読んでこなかったという人はいらっしゃいませんが、目次と前書き、後書きだけ読んで、あとは荒筋をネットや動画で調べてきた‥という方は、それなりにいらっしゃいます。

今回の課題図書「天才たちの日課」は、そのタイトル通り、色んな天才たちの日課が、各天才ごとに取り上げられており、どこからでも読める本となっています。

そのため、頭から通して読んだという方はほとんどおらず、大半の方が知っている名前の天才から読んだ、好きなジャンルの天才から読んだ(作家、画家、音楽家‥など)、その後に知らない人も読んだ‥という方が多かったようです。

「名前のあがった天才たち」

ここからは、実際に読んでみて印象に残った…と、読書会でお話しが出た天才たちをピックアップしていきます

フランシス・ベーコン(画家)

ベーコンの1日は、何度も豪華な食事を大量の酒(ワイン6本!)、夜ふかしで睡眠時間は2、3時間、そしてぐちゃぐちゃのアトリエで毎日5、6時間、絵を描くというかなりワイルドなもの。

これを読んで、素晴らしい日課があれば、いい仕事ができるので良い日課を作ろうと思っていたけれど、彼の生活を見て、自分の心地よさを追求してもいいのかな‥との気づきを得たとの感想も。

ベーコンに限らず、この本に出てくる天才の何人かは、びっくりするぐらい大量にアルコール摂取をする人おり、当時のお酒ってアルコール度数低かったの?という疑問も飛び出しました。

村上春樹(作家)

天才のうち、日本人で取り上げられたただ1人の人物、村上春樹。
朝は4時起き、5、6時間仕事をして、午後はランニングまたは水泳、その後はのんびりで21時就寝という規則正しい毎日を過ごしているそうです。

毎日きちんと暮らしている天才はこの本の中でも何人も出てきますが、その典型的な1人のようです。

世界的に有名な日本人の天才ってもっと他にいないのだろうか?‥という話に飛び、吉本ばななさんも翻訳されている作品多いよね‥という話から、でもやっぱり今は知名度から行くと、お片付けでSpark Joyのこんまりさんだろう‥という結論に。(天才なのか?という疑問は残りますね…)

ちなみにこの本の続編にあたる女性編では、日本人は草間彌生さんが取り上げられています。

トニ・モリソン(作家)

黒人女性初のノーベル文学賞作家として有名なこの方。
シングルマザーでフルタイムで仕事して子育てして、片手間で小説書いてノーベル賞って、凄すぎ…という感想。

ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(作曲家)

朝のコーヒーは、細心の注意を払っていれるということで、コーヒー豆60粒を数えていたとか…。
豆を挽いてコーヒーを淹れる人は、参加者の中にもいましたが、豆の数を数えたことがある…というかたはさすがにいませんでした…。

パトリシア・ハイスミス(作家)

コツコツ型多いように思える女性の天才たちのなかで異彩を放っているのがこの方。
ベッドの脇にボトルをウォッカのボトルを置いて、起き抜けにまずそれを飲み、チェーンスモーカーで食生活はめちゃくちゃ。
挙句の果てには、カタツムリが好きすぎて、カクテルパーティに100匹のカタツムリとカタツムリのためのレタスを持って参加とか…。

カール・マルクス(思想家・経済学者)

とにかく金が無い上に、金銭管理能力もない人だったというのに、皆さんビックリ。

「金についての本を書いた者で、こんなに金のない者は、いままでいなかったと思う」と本にも書いている

人から金をめぐんでもらって生活していたというから筋金入りですね。

チャールズ・シュルツ(漫画家)

スヌーピーでお馴染みのチャールズ・シュルツは、平日は毎日7時間仕事をして、子供たちを保育園に送迎というとても規則正しい生活をしていた人だったようです。
50年近く、アシスタントなしで漫画を描き続けたというのもすごいですね。

ウィリアム・ジェイムズ(心理学者)

この方は、私はこの本を読むまで全く知らなかったのですが、心理学者であり哲学者の方でもあったようです。参加者の方にこの人のファンだという方がいらして、詳しく色々とおしえていただきました。
日本では、あまり人気がないようですが、アメリカではとても人気のある人物だったようで今もたくさんの著作が読まれているのだとか。

規則正しい生活がしたいと望みながら全くできず、不眠症のためクロロホルムを使って寝ていた‥とか、なかなか人間味にあふれているエピソードが楽しいです。

アンソニー・トロロープ(作家)

毎朝5時半に起きて、3時間執筆してから郵政省でお仕事。大量の小説を書いた人らしい。

ちなみにこの人のお母さんのファニー・トロロープも53歳から小説を書き始めた人気作家で、同じように毎朝4時から執筆してから、朝食作りから始まり、家事や育児をするというスタイルで、そのやり方をアンソニーも真似たとのこと。

お母さんについては、こちらに記載あり。

アガサ・クリスティー(作家)

「ミステリーの女王」様は、自分を作家だとは思っておらず常に職業欄には、「主婦」と記入していたそうです。
それもそのはず、あれだけの膨大な作品を出していながら、彼女は自分の部屋も持っておらず、家の仕事の合間にちょくちょく書いていただけだそうで…。
前述のトニ・モリソンもそうですが、女性はわりとこういうスキマ時間活用型ですごいことできました‥という人がいるようですね。

シモーヌ・ド・ボーヴォワール(作家・思想家)

その業績よりも、サルトルとの関係に注目されての感想が多かったです。
(サルトルとボーヴォワールは、自由意思に基づく個人の選択を最重要視し、婚姻も子どもを持つことも拒否。互いの性的自由を認めつつ終生のパートナーであったという関係)

最初の朝、僕はベッドで横になっていようと思ったが、ボーヴォワールは服を着ると、仕事机のほうへ行った。「あなたはそっちで仕事してね」と彼女はいい、ベッドを指差した。(中略)
昼食の時間になるまで、彼女は一言もしゃべらなかったと思う。昼になると、ボーヴォワールはサルトルのところへ行って昼食をとった。ときには僕も一緒に行くこともあった。そのあと、ボーヴォワールはサルトルのアパートで、三、四時間、二人で仕事をする。それがすむと、集会やだれかと会う約束があって、そのあと二人は僕と落ち合って一緒に夕食へ行く。だが、ほとんどの場合、ボーヴォワールとサルトルは僕とは別の席に二人ですわり、サルトルがその日書いたものをボーヴォワールが批評していた。夕食のあと、僕はボーヴォワールとアパートに戻って寝る。

1952年〜1959年までボーヴォワールの恋人であった映画監督のクロード・ランマンの言葉。
「天才たちの日課」より

  • サルトルのパートナーですごく先進的な考え方だけれど、日課はきちんと決まっているのがなんだか意外。そのような生活には精神の成熟がやはり必要だということだと思う。
  • 他の人とも同棲。交際相手全員に公けになっているのは自分にはとてもできないなぁ。女性がこの時代にこのような関係を公けにしているというのがすごい。
  • 堂々としている、格好いい
  • 彼氏がすごいな、よく耐えられるな、と庶民的な感想を抱いた。脇で食っているとか、自分彼氏?って思っちゃう。
  • 彼氏ペットみたい?
  • 頭いいんだろうなと思う、恋愛がすべてじゃない、色んな本を書いている

その他名前の出た人々

上記以外にも以下のような天才たちの名前が出てきましたが、あまりに長くなるので、このあたりで止めておきます。
ご興味のある方は、ぜひ本でお楽しみください。

アンディ・ウォーホル、ダーウィン、ヘンリー・グリーン、ピカソ、ゴッホ、ジョン・チーバー、サルトル、カール・ユング

「全体の感想」

・「日課」と「習慣」って似ているけれど、微妙に違う?と考えさせられた。習慣づくりとはいうけれど、日課づくりとは言わない。習慣が身につくと日課になるので、いいことも悪いことも日課になってしまう

・日課は人生の大部分を占める。日課がその人にとって幸せなのか、不幸なのか、成果が上がれば幸せだったとも限らない

・この本を読み知っている名前の人の日課を知ることで、より身近に感じることができた。

・日課を広く捉えることができて、すごく良かった。

・日課づくりが苦手なので、読書会のような習慣づくりはとても良いと感じている

・天才だけれど読んでみると結構普通で、毎日同じことをして素晴らしい作品を作っていて、それほど自分たちと差がないことが嬉しかった。

・天才ということで、独自の変わった日課がたくさん出てくるのかと思ったが、ハチャメチャの意外さよりも、案外普通の方が多いなということがが驚きでした。

・興味のあるところ拾って読んでいて、作家中心。生活が毎日きっちりしている人のほうが心に残っている。画家とか逆に興味をもって、作品も観てみたくなった。

【次回のサードプレイス読書会】

第14回サードプレイス・オンライン読書会は「最悪の予感 パンデミックとの戦い」を取り上げます。

受付開始:サードプレイス #14 課題本「最悪の予感 パンデミックとの戦い 」

本を読むのが好きな人、本を読みたいと思っている人、今回の課題本に関心のある人、いろんな方のご参加をお待ちしています。

場所 zoom(オンライン形式の読書会です。オンラインでの参加方法は後述)
日時 2021年11月27日(土)
10:00-12:00 (9:45より オンラインで入室することが可能です)
会費 無料
募集人数 10名 
※運営の事情により、今回から募集人数がこれまでの15名から10名に引き下げましたので、ご希望の方は早めにお申し込みください。

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