逗子日記:二〇二三年一月 雞始乳(にわとりはじめてとやにつく)

5時過ぎ起床。
トイレに行きたいが、寒さで起き上がれずそのまま布団の中で夫とおしゃべり。
お互いの同級生の誕生日は明日だねとか、夫は高校時代の彼女に会う夢を見たとか、そういえば私は自分が不倫している長編の夢だったとか、そういうしょうもない話。
ちなみに夫のやつは甘酸っぱい感じで、私の方は「え、これまた結婚する羽目になるのでは…」みたいな甘酸っぱさの欠片もないやつだった。

そんな話をしているうちに思い出したが、今日は私達がなし崩しに付き合い始めた日でもあった。
その日も明日は同級生の誕生日だね…と話していたから思い出したのだ。

入籍してから数年を経て、もちろん甘酸っぱさの欠片もない我が家。
私自身そういうアニバーサリーとかイベント的なものを全く求めておらず、どちらかといえば理想の夫婦像は、小津安二郎的な静かなやつが好みなのだが、先週2泊3日で家を不在にし、挙げ句昨日帰ってきてからはひたすらスマホにかじりついている夫には、「何の努力もせずにうまくいくとか思うなよ」と警告は出しておく。
警告は真摯に受け止めるタイプだが、効果は今日の夕方までぐらいだろう。

朝食は玄米ごはん、ワカメと長ネギの味噌汁、塩鮭、キムチ。
朝食の席で、夫から今日は記念日だから夜は外食でもしようと言い出した。
記念日ということも覚えていなかったはずだが、今朝の警告は犬の散歩に出掛けた後でも覚えていたようだ。

その取ってつけた感じが丸出しの対処療法的なやつが、長い男女交際が続かない理由だよ、君の場合は…、とつくづく思い爆笑してしまう。
一見そうは見えないところがまたややこしくて面白いのだ。

そして、ここで対処療法に怒るタイプの女子なら良かったのだろうが、笑ってしまうところが私が友人たちに指摘される典型的ダメンズ(駄目な男がなぜか好き…という自業自得タイプの女)になってしまう要素なのだろう。

溜めていた週末の新聞を読み終えて、仕事スタート。
今日は書き物仕事ばかりだ。こういう日は適宜、立って家事をしないとあっという間に腰がやられるし、集中力が持たないので、TIME TIMERをセット。

午後は歯医者で定期クリーニングをしてもらい、図書館に予約しておいた本を引き取りに立ち寄る。

早速、館内で読み始めるがぞくぞくするほど面白い。
著者の綿矢りささんは、すごい若さで芥川賞を受賞して当時はかなり話題になったので、勿論その名前は存じ上げていたけれど、実際に彼女の書いた本って読むの初めてだと気づく。

どうも小説については保守的になってしまって、好きな作家ばかり読んでしまう。ハズレるのが嫌なのだ。
もうちょっと読む範囲を広げたいな〜と思いながら、文芸誌の欄を眺める。
文芸誌に手を出したら、沼に溺れるに決まっているのだからと、避けていたが。
うーむ、そそる。

…と思っていたら、夫から犬と散歩しているので、図書館に迎えに行くと連絡がくる。
いや、たまには外での一人の時間も欲しいのですが…と思うが、帰ってやらなきゃいけない仕事も溜まっているので、まぁいいやと合流して帰宅。

クルミっ子をおやつにして、先日デビューしたフレンチプレスでコーヒーを淹れて、コーヒーを飲んで仕事再開。

電気ケトルを修理に出しているため、我が家の薬缶だと注ぎ口が広過ぎてペーパードリップには無理があり、しばらくレンチプレス一択になる。
私の場合、ペーパードリップのほうが毎回安定して美味しく淹れるのが難しい気がするけれど、一般的にはどうなのだろう?

夜の外食は、久しぶりのざくろさん。逗子は居酒屋さんがとにかく少ないのもあってこのお店はいつも満席だ。
このお店のレベルだったら、居酒屋ひしめく東京の下町でも十分戦えるレベルで美味しく、コスパも良いので私達二人のお気に入りのお店だ。

昨年の同時期は、叔父が亡くなり、夫がやたらおでんを作っていて、そして引っ越し直前だったのを思い出す。
梅の木は今年はすでに咲き始めている。

逗子日記:二〇二二年一月 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

上記の記事では2万円近い電気代で驚いているが、今年は値上げもあり2万円突破は間違いなさそう。
ちなみに先日届いたガス代は、1月分が27,000円で仰け反るほど驚いた。2万円超えたなんて初めて。

ふと、寒い地域に暮らす人達にこの光熱費の値上げラッシュと下がらないガソリン代はさぞやキツイだろうと思う。
賃金は首都圏よりも平均して低いわけだから、1万円の重みが違うはずだ。
では、原発を…となると、これまたリスクは地方が背負うことになるんだよな。

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