逗子日記:二〇二四年十二月 熊蟄穴 (くまあなにこもる)

7時。布団から出て1階に降りると温度計は11度を指していた。
ガスファンヒーターのスイッチを入れる。
9時を回って、晴れのお天気なら陽の光で暖房なしでも20度を超えるのがここ最近だ。

今日は7時前には家を出て、オフィスに出社すると言っていた夫はまだ犬との散歩から帰ってきていない、いつものことだ。
散歩仲間とおしゃべりしているうちに楽しくなってしまったのだろう。

娘から近所のカフェに下孫といるよーと連絡がきたので、着付けをして化粧をして急ぎ足でカフェへ。
着物で身体の中心部分は温かいけれど、下駄に足袋というのは板の上に靴下だけで足を乗せているようなものなので足首から下だけが冬を感じる。
行きがけに、お散歩仲間とすれ違う。
寒くなってきたので、早朝の散歩から9時過ぎの散歩に切り替えたそうだ。そのほうが飼い主も犬も散歩が楽しいと私も思う。
「朝から着物なんだね」と驚かれる。
「何回も着替えるのが面倒くさくて苦手なの」と茶色と白の入り混じったミックスのワンちゃんの首のあたりをなでながら返事をする。
若い頃から、部屋着とか普段着というのをあまり持っていなくて、スーツかパジャマみたいな暮らし。今はスーツが着物に替わった。
仕事着→中間の服→パジャマみたいなのって、着替えるのも面倒なら着替えたものを片付けるのも私には面倒で…、こういう面のズボラさというのは子どもの頃から一貫して変わらない。

娘とコーヒーを飲んで、軽く近況報告をしあう。
先日、3歳になった孫は歩くのが嫌いなのか、とにかく抱っこして欲しがるので、娘は彼を抱っこし、私は彼のテイクアウトしたミルクを持ってマンション下まで一緒に歩き、そこから家に戻る。

開店準備を終え、OPENの札を出すまでに少し時間があったので、ハーブティーを淹れ、娘からもらったパウンドケーキを食べながら、昨日から読んでいる「わたしは英国王に給仕した」を読む。

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朝日新聞の名物記者が書いた文章指南の本「三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾」を先日読み終えた。
文章読本の類は時々読む。
読むと書き手がどういうことを考えて文章を書いているのかを知ることができ、読むときに書き手の視点を意識して読むと読み方が変化するのと文章そのものをよく味わうようになり、ゆっくりと深く読めるようになる。
例えば今読んでいる「わたしは英国王に給仕した」 ならば形容詞を安易に使わずに、どう読者に登場人物の体験を伝えるか…「美しい」「素晴らしい」ではない、主人公の喜びをなるほどこう描写するのか…と感心しながら読むようになる。
この「三行で撃つ」のプロのライターになるための本の読み方について以下に引用する

「毎日二時間。これだけだ。しかし、例外なく、必ず。盆も正月も、彼氏彼女と別れても、親が死んでも、必ず二時間、本を開ける。
二時間にも内訳があって、一時間は、自分の好きなもの、なにを読んでもいい。ただし、半分の一時間は「課題図書」を読まなければならない。課題とは、具体的には四つのジャンルのことだ。

①日本文学
②海外文学
③社会科学あるいは自然科学
④詩集

①と ②については、そのなかでも「古典」と呼ばれるものに限定する。」

—『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』近藤 康太郎著

この文章を読んで、細切れなら2時間読書は私もできそうな気がしてきた。開業して約1ヶ月が経ち、仕事の流れも以前よりだいぶ見えてきている。
そもそもお風呂で30分、布団の中(寝しなと寝起き)で30分、合計1時間はすでに読んでいる。ただし、この1時間はいずれも軽い読み物ばかりをKindleで読んでいる。(その軽いものにこの『三行で撃つ』も含まれていた)

15分単位なら、なんとかなりそう。
ただし、私の場合はライターになるわけではなく、読みたい本を読みつつ、読みたいと思いながら読めていない積読本を読むというのが目的なので、以下の4ジャンルで昨日からお試し中

①日本文学 or 海外文学 → 「わたしは英国王に給仕した」
②ノンフィクション →「自炊者になるための26週」
③図書館から借りてきた本 →「パーティーが終わって、中年が始まる」
④詩集、短歌、俳句、古典→ここはとりあえず青空文庫で目についた詩集を読み始めている、昨日と今日は立原道造の「優しき歌」

まだ始めて2日目なのでなんとも言えないけれど、今のところはうまくいっていて楽しく読めている。
このところ本に対する集中力が落ちているので、集中できる単位としても15分という区切りは今の自分にあっているようだし、15分間程度でであれば時間は仕事の切れ目としても比較的確保しやすい。

お客様より切り立てのお餅の差し入れをいただく。
夫は餅を食べないし、この冬は餅も高いというし、正月はどうせ仕事だし…と、お餅を買うのを見送っていたが、私自身はお餅が大好きなのでとても嬉しい。

地場産の菊芋が出回るようになったので、ぬか漬けと醤油漬けにしてみる。醤油漬けは悪くないけれど、単調な感じ、お店に出すときはなにかもう一捻り欲しい。
菊芋は揚げて塩で食べるのも美味しいのだけれど、ワンオペで揚げ物は負荷が高すぎるし危険なので無理だろう。

庭の豆柿はまだオレンジの小さな実をつけているけれど、葉は全部落ちてしまった。
鳥も実を食べに来ないのは、渋柿だってわかっているからなのかな。

急に冬らしくなってきて、SNSのあちこちで風邪ひいた、インフルエンザにかかった報告を見かける。

昨年同時期

逗子日記:二〇二三年十二月 熊蟄穴 (くまあなにこもる)

このときの胃粘膜下腫瘍の検査結果は、腫瘍のサイズが小さくガンでもなかったため、その後は経過観察となった。その経過観察の検査を受けに行ったら、今度は十二指腸に腺腫が見つかり開腹手術をしてみたら、ガンだったことが判明。
でも取り切れたから大丈夫だよ…というのが今年の10月の出来事だった。
我が家にとっては2024年の重大ニュースの1つに見事ランクイン。

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