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2024年読書概況
毎年年末ギリギリにアップしている1年間に読んだ本ベスト5の記事ですが、今回は1月6日にようやく書き始めました。
毎年記事を書くたびに読了リストを眺めては、「本がたいして読めていないな〜」と思うのですが、2024年ほど本を読まなかった(読めなかった)年はおそらく10代以降初めてだと思います。
読了数は135冊(再読含む、雑誌含まず、マンガ含む-ただし、同じマンガを数巻読んだらカウントは1冊としています)
こう書くとなんだかんだで読んでいる・・・・となりますが、大半がマンガと再読。
上半期は通信制大学の卒業制作と引っ越しに忙殺されつつも、まだある程度読めたのですが、下半期は開業準備に忙殺されとにかく、時間がない→体力ない→気力ない…となり、軽い本しか読めませんでした
開業の話はこちら↓
開業したら当然ですがこれまたやること山ほどありまして、それでも本を読まないとどんどんエネルギー落ちていくなぁ…という実感もあり、なんとか毎日2時間読もうと決意した記事↓も書きましたが、年末ですでに崩れました。
そして年始は元旦から営業で有り難いことにずーっとお客様がいらして、嬉しいのですが全く本を読めず・・・・、年始から6日も経って1冊も読んでいない…って我ながらすごいな…と思っています。
しかも自分の愛読書と積読本に囲まれた職場で・・・・
年末に我が家に泊まった母に、「ルシア・ベルリンの作品って良いわね…」と言われ、80歳近い母より本が読めていないって・・・・と、なんとも形容し難いショックを受けました。
ルシア・ベルリンの作品を読みたいと思いつつ「掃除婦のための手引き書」しか読めていない私…。
こんな状況ですが、そんな貧しい読書生活でも何冊か良い本と出会えましたので、そちらを備忘録として記録しておきます
2024年ベスト5
5位:「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」 吉田 満梨 / 中村 龍太
若い頃は山ほど読んだビジネス書、ここ数年は若い頃の5分の1も読んでいないような・・・・。読みすぎてさすがに食傷気味なんです。
そんな私ですが、2019年より運営している読書会「サードプレイス ~一緒に本を読む会~」のメンバーからご紹介があり、興味をそそられ読んでみた本が、「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」でした。
ホントバ をオープンするにあたり、この本で書いてあるエフェクチュエーションを実践しようと試みたわけではありませんが、開店準備の途中から、あれ?これエフェクチュエーションでは?と思うことしばし、
自分の手元にあるリソースで何ができるかを考え(bird-in hand)、53歳という年齢と体力、それから手持ちの資金といったリソースからどこまで損失を許容でできるかを決め(affordable loss)、協力をお願いできる方には協力をお願いして(crazy-quilt )、開店までこぎつけました。
開店後は、偶然によってもたらされたものや想定外の流れを積極的に活用し(lemonade)、現時点ではこの状況で自分がコントロールできることってなんだろう(pilot-in-the-plane)…を考えつつ、店を開けています。
業界知識・経験ゼロ・全くの未経験と思いつきで始めたため、不確実性が高いというよりも、確実性のあるものがゼロみたいな始め方。
読書会でも、大企業でこんなやり方したら、統制とれないし、不公平感も増すし、無理だよね…というのが大多数の意見でした。
法人ならスタートアップ、むしろNPOやボランティア活動、地域起こし、イベントなんかに向いてそう…という意見が出ましたが、私もそのように感じます。
内容はとても豊かな本ですが、軽くて読みやすい本ですのでご興味ある方はぜひ。
下記の記事内にこの本に関する記事へのリンクも掲載しています。
4位:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」三宅香帆
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」 こちらも2024年最後の読書会で取り上げました。
話題になっていた本でタイトルが気になり、図書館から借りて読み始め、一気読みしてさらに購入してしまった一冊。
本の帯に「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」とキャッチコピーが書かれていて、今の時流に刺さるキャッチね…と感じ、
私の予想ではスマホばかりじゃ駄目ですよ、なぜなら・・・・となり、だから本を読もうね・・・・
・・・・という内容の本だと勝手に想像していましたが、
良い意味でタイトルからの期待を裏切られました。
そもそも読書って社会にどう捉えられていたか‥の変遷に引き込まれた1冊。
読書会では、「そもそも教養ってなんだ?」「本じゃないと駄目?Youtubeの教養チャンネルは駄目なの?」など、活発な意見がポンポン出てきて楽しい会となりました。
図書館で借り読み終えたにもかかわらず、この本の参考文献となったものも読んでみたいと思って、購入したのですが、結局そこまで手が回らず・・・・。
著者の三宅香帆さんのその他の作品も読みたいのですが、このあたりは、御縁がありましたらまたぜひよろしくお願いします…という諦めモードです。
3位:「ハンチバック」市川 沙央
2023年に芥川賞を受賞した「ハンチバック」。
1行ごとに薄衣を剥いでいくように、主人公がどのような状況に置かれているのかがわかってきます。
あ、これ絶対明るい話じゃないな・・・・そして重いな・・・・と怯えながらゆっくりと一行一行読みました。
内容は重たいけれど、文体は重くないので読み難くはないので、明るい直木賞と違って、純文学の芥川賞はどうも苦手という方にも比較的読みやすいような気がします。
とはいえ、これぞ文学と久しぶりに感じた作品でした。
現代社会をそのまま背景に使っているので、最近の社会状況に詳しくないとわからない言葉(スパダリ、ナーロッパなど)も注釈なしに使われ、このツールはEvernoteのことだな‥とか、10年後に読んだ人には「注」がつかないとわからない作品になってしまいそうだけれど、そんなことはおかまいなしに、とにかく目の前にあることを、今日できることを詰め込んで書ききったという迫力があちこちに。
明日のことなど考える余裕はない主人公とたくさんのことを考えさせられた一冊。
2位:「天路の旅人」沢木耕太郎
沢木耕太郎氏の長編にハズレがあろうはずはないと確信を持って読んだ「天路の旅人」
第二世界大戦末期に中国大陸を密偵として旅した西川一三という人物を主役に据えたノンフィクションは、旅のスケールがとにかく大きい。
旅の描写や当時の政治的な話も面白いのだが、この西川一三という淡々と生きた人物に個人的に強く惹きつけられる。
旅路も素晴らしいのだが、何よりこの西川一三という男性のもつ魅力、生き方がかっこ良すぎるでしょ、これは。
自分を低いところに置くことができるなら、どのようにしても生きていけるものです
1位:「エスプレッソ・コーラ」ゆり子
児童発達支援の新人保育士を主役にした漫画「エスプレッソコーラ」
療育現場の裏側、職員の話し合いや葛藤、連携機関とのあれこれ。
発達の捉え方を描いてます。 https://t.co/UWlSTz9Ddu— 元!療育保育士ゆり子@療育現場をドラマにしたい (@ryouikuhoikushi) October 31, 2023
絶不調のときに出会ってしまったにもかかわらず、読むの止められず一気に52巻まで読了してしまいました。
信じられる?この漫画無料で読めるのよ。
なお、本日現在、85巻まで出ていますが、もちろんすべて読んでいます。(番外編の有料本含め)
「生きづらさ」という言葉をあちこちで聞くようになってどのぐらい経つのか、少なくとも私が若い頃はあまり見たり聞いたりしなかった言葉だったのではないかと思うのです。
この本に登場する親子は本当にそれぞれ特性が異なるけれど、どの親子もみんな躾でなんとかなるレベルを超える「お困りごと」を抱えているのは共通しています。
また、療育施設ぐらい子どもを細かく見てあげていたら、不器用さから、ものを創作することに苦手意識をもって嫌いになったりする前に、筋力のなさからくる運動嫌いや苦手意識を持たずに早いうちに対応してあげられるのかもしれない…と学びました。
親ってついつい「この子は〇〇に似て不器用で…」「家の家系は運動が苦手で…」なんて思って、遺伝で上達しない…なんて思ってしまうけれど、この漫画で療育施設の対応を見ているとそこで放置するかしないかで随分と変わることを知りました
様々な学びがあるだけでなく、この施設で働く職員のみなさんがまた個性的で漫画としてもきちんと(?)面白いのがすごいし、更新頻度の高さも驚嘆しています。
ぜひ、まだ知らない人に読んで欲しいと2024年の1位としました。
私は当初Kindle専用端末(白黒)で読んでいて、次から次へと登場する子どもたちの区別をつけるのが難しく感じていたのですが、iPadのKindleアプリで読んだらきちんと色分けされていて読みやすかったです。カラーで読むのがオススメ。
ドラマ化は子役が難し過ぎるように感じますが、アニメ化なら…いけるかな?
センシティブな部分も多く、ネットに大論争が巻き起こりそうですが、こういうことに困っている人たちがたくさんいて、それに対して家族や行政がどのように対応しているのか…というのを知るだけでもいろんな面で関心が高まり、多くの人の理解が進むのではないかと感じます。
誰かが少しでも生きやすくなると、同じお困りごとを抱えていなくても、回り回って自分たちも生きやすくなるんじゃないかと思う今日このごろです。
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